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眼・光学学会
光束の平行移動によるパタン認識—その1基礎的事項と2〜3の実験例
著者: 武田啓治1 八百枝浩1 岩田和雄1
所属機関: 1新潟大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1341 - P.1345
文献購入ページに移動Stiles-Crawford効果1)は網膜視細胞の方向感受性を示す効果として知られている。この効果とは視細胞が細胞長軸に一致して入射する光に対して最も感受性が高く,斜めに入射するほど感受性が低下する現象をいう(第1図)。
StilesとCrawfordによる実験結果によれば,瞳孔中心から入射した光に対して中心窩視細胞群は最も感受性が高く,瞳孔周辺へ外れるに従い,中心窩細胞群は感受性が低下している。したがつて,中心窩視細胞層の配列に障害があるとすれば,最大感受性を示す点がずれたり,カーブが平坦化することが予想される。1959年Enochは,弱視眼のStiles-Crawford効果を調べ,その曲線が正常眼のものとは異なり,曲線の頂点のずれ,あるいは平坦化等が認められたことから,視細胞層の配列の乱れが弱視の原因となつていることを推測させる結果を得た(receptor amblyo—pia)2)3)。網膜視細胞層の配列の乱れが視力障害を生ぜしめることは明らかであるが,Enochの実験は測光学的方法で複雑な実験装置による"brightness difference contrast thresholdmethod"を用いてある。
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