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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科28巻2号

1974年02月発行

文献概要

特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 講演 学会原著

急激に進行増悪する未熟児網膜症に対する光凝固療法

著者: 大島健司1 西村宜倫1 加納正昭2 向野利彦2 熊野誠是3 高木郁江3 中間赫子

所属機関: 1福岡大学医学部眼科教室 2九州厚生年金病院眼科 3九州大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.217 - P.223

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緒言
 乳幼児の失明原因として最近わが国でも重視されている未熟児網膜症は,1942年にTerryが未熟児の水晶体の後部に灰白色膜状組織がある失明例を報告1)したのに始まる。本症はその後,すなわち1940年から1950年頃にかけて主に米国において多発し,乳幼児失明の大きな原因となつた。未熟児網膜症の本態は当初は先天的異常に基くものと考えられていたが,Owens2)などにより後天性疾患であることが証明され,その後種々な実験的研究と臨床的観察の結果,未熟児保育時の酸素補給と深い関係があることが判明した。このため1954年に到つて3),米国では未熟児保育時に厳しい酸素補給の制限が行なわれ,本症の発生は激減をみた。しかしその発生が全くなくなつたわけではない。最近の未熟児保育の進歩とともに,1500g以下の低体重児の生存率が向上し,低体重児に発生しやすい呼吸障害症候群(RDS)に対して高濃度の酸素療法が不可欠であることが強調され,再び本症の発生が増加して来ている。わが国においては,米国が体験した前回の多発を免れることができたが,次に起こつて来ている本症の発生増加は避けることができない。しかし幸いにも永田により活動期未熟児網膜症に対する光凝固療法が発表1)され,その後広く追試されて,その有効性が認められるに到つている。このため「眼か,生命か」という未熟児室担当医のジレンマに一つの解決法が見出されたわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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