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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科28巻4号

1974年04月発行

文献概要

特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 講演 学会原著

角膜全層移植の視力効果

著者: 今泉亀撤1 渥美健三1 葉田野雅夫1 星兵仁1 宮下浩1 今泉博雄1

所属機関: 1岩手医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.481 - P.492

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緒言
 最近,ほとんどの都道府県に眼球銀行が設立され,角膜移植に提供される眼球の入手は,往時に比較して,はるかに容易になつたといわれている。この現象は,各眼球銀行の母体である大学病院眼科などに,古くから登録されていた主として陳旧な移植適応患者の大部分が,一応手術を実施されたため,需要と供給のバランスが,見かけ上,安定してきたためと思われる。しかし,僻地に居住してまだ発見されていない患者,あるいは難治性の角膜疾患で新に移植の適応となつてきた患者が,大学病院以外の一般臨床医の診療圏内に,なお,多数存在していることは想像に難くない。したがつて,近い将来,技術がさらに進歩改良され,しかも,角膜の長期保存法の開発が実現して,眼球銀行の本来の業務である角膜あつせんが円滑に行なわれるようになつたさいには,角膜移植は,大病院のみでなく,かなり広い範囲の第一線臨床医の手で行なわれる可能性が十分に期待される。実際に,microsurgeryが急速に普及されている今日,白内障などの内眼手術に熟達した眼科医であれば,眼球の入手が容易となり手術器械とスタッフさえ確保されれば,現在でも,角膜移植術の施行は可能である。
 しかしながら,現時点における最大の問題点は,わが国の眼科臨床医の大部分が,いまだ本手術の実際経験の多くを持たないことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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