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特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 講演 学会原著
Major tranquilizerによると思われるOculogyric crises症例について
著者: 下奥仁1 青山達也1 鈴木有朋2
所属機関: 1兵庫医科大学眼科学教室 2神戸大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.493 - P.498
文献購入ページに移動oculogyric crisesとは,発作的に出現する両眼の不随意的なけいれん性上方偏位であり,数分〜数時間の発作がみられ,oculogyric spasms,oculogyric seizures,visual fits,tonic eye fitsとも呼ばれる15)。このoculogyric crisesは多くの場合,postencephalitic syndromeの1つとしてみとめられ,Onuaguluchi23)によると29.8%の高率に出現するという。
一方,1950年代の前半頃からmajor tranquil—izerとして精神科領域で多く用いられて来たphenothiazine誘導体(chlorpromazineその他)は,その副作用として錐体外路反応をきたし,老人よりも小児に頻々にみられることが報告せられている11)。しかし,phenothiazine誘導体は,小児の悪心,嘔吐に対しては,その原因の如何にかかわらず有効であるために,日常繁用せられている薬物である12)。major tranquilizerの副作用としてのoculogyric crisesの発症は,かなり大量,かつ長期にわたつて用いた場合にみられることが多い28)。
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