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特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 講演 臨眼特別講演 学会原著
Dominant Vitreo-Retinal Dystrophyの一家系—特に本症と黄斑偏位との関係
著者: 三河隆子1 白木泰子1 松村香代子1
所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.635 - P.642
文献購入ページに移動Vitreo-retinal dystrophyの中で常染色体優性遺伝をする型のものは1938年Wagner1)がはじめて報告した疾患で,Wagner's diseaseとも呼ばれる。本症はまれな疾患である。本邦では斎藤ら2)が一家系を報告しているのみである。本症の特徴は硝子体の変性,網脈絡膜の変性,および思春期から始まる進行性の白内障である。多くの場合,近視または近視性乱視を伴う。今回われわれは一家系中に4世代にわたり11人(うち7人は直接検査,他の4人は家族歴より推定)の本症患者を発症した家系を経験した。これらのうちERG,EOG,螢光眼底撮影を行なつた症例で,本症に関して若干の新しい知見をうるとともに,外方への黄斑偏位とこれに伴う偽外斜視のあることが本疾患の特徴的症状の一つに数えられるべきではないかと考えるに至つた。
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