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特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 講演 学会原著
眼窩リンパ腫の臨床的病理組織学的検討
著者: 杉本浩一1 安澄剛興1 乾慶助1 桧垣忠尚1
所属機関: 1大阪市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.753 - P.760
文献購入ページに移動眼科領域に出現するリンパ腫(lymphoma)は,Reese1), Forrest3)らによると眼窩,涙腺,球結膜に多いと報告され,とりわけ眼窩にはリンパ様組織の欠如していることなどから,眼窩リンパ腫の発生病理について古くから多くの議論がなされている。また臨床的に全身の系統的なリンパ節腫大が認められ,眼窩リンパ腫が全身的な悪性リンパ腫(malignant lymphoma)の部分症状として発現してくる場合の診断は比較的容易であるが,孤立して出現してくる場合の診断はかなり困難である。さらに病理組織学的にも明らかに悪性所見を示すものから良性リンパ腫(benign lymphoma)と考えられるものまで存在する上,眼窩炎性偽腫瘍(orbital infla—mmatory pseudotumor)との鑑別などの面からもその確定診断は決して容易ではない。
1964年より1973年までの10年間に当教室において6例の眼窩リンパ腫(細網肉腫3例,良性リンパ腫3例)を経験したので臨床的,病理組織学的に若干の考察を加え報告する。
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