文献詳細
特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その6)
講演 学会原著
進行性錐体ヂストロフィーにおける網膜のスペクトル反応について
著者: 横山実1 宇井健二1 吉田輝也1
所属機関: 1三重大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.805 - P.813
文献概要
眼底所見および一般の眼科検査所見では,Stargardt病あるいは他の黄斑部疾患に類似するが,進行性に,より広汎な錐体系のヂストロフィーを来す一種の網膜変性症があり,すでに1956年にFrançois4), Steinmetz14)らが報告している。1963年に,Goodman5)らが類似疾患と共に分類を試みて以来,その臨床上における存在はより鮮明となり,一般には"progressive cone degenera—tion"という病名が用いられてきた。しかし,最近,KrillおよびDeutman9)は,本症がしばしば遺伝的傾向を示すところから"cone dystrophy"とした方がより適切であると述べている。
本症の特徴は,徐々に進行する羞明を伴つた視力,色覚の障害,中心暗点,暗順応経過における第1次曲線の異常など,錐体系視機能の障害を,これに並行して多くの例に出現する眼底,黄斑部の変性病巣である。また,正常に近い暗順応ERGと,対照的に,著明に侵害される明順応ERGとが,診断上きわめて重要なきめ手となる。さらに心理物理的な手法による網膜中心部のスペクトル感度が短波長側へ移行することも特徴の一つとされている6,13,2)。
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