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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科28巻7号

1974年08月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・201

片眼性に見られたDegenerative Retinoschisisの1例

著者: 西田祥蔵 ,   小谷晃 ,   萩野鉚太郎

ページ範囲:P.881 - P.882

〔解説〕
症例:男子,26歳,職業機械設計
初診:1973年3月21日

臨床報告

白内障手術患者の術前全身検査結果の検討

著者: 幸塚悠一 ,   中内正海 ,   依光純子

ページ範囲:P.883 - P.887

緒言
 眼科手術といういわば局所的な手術にさいして,どの程度全身状態を把握していれば十分かということはなかなかむずかしい問題である6)。眼科手術といえども何らかの全身麻酔や基礎麻酔を応用する症例が増えているから術前検査はできるかぎり慎重に行なうべきではあるが,範囲を拡げていけばきりのないことでもあるし,一方では主として保険診療の問題にからんで最近の医者は無駄な検査をしすぎるという声もある。いずれにせよ,どの検査にどれだけの意味があるかを知り,効果的に検査を実施すべきであることは当然である。そのためわれわれの病院で過去に行なつた手術患者の術前検査結果を検討してみた。

切迫期網膜中心静脈閉塞症における治療経過と予後の検討

著者: 臼井宗雄

ページ範囲:P.889 - P.897

緒言
 網膜中心静脈閉塞症は,日常われわれ臨床医がしばしば遭遇する疾患であり,これに関する種々な研究報告とともに,治療上の諸問題についての報告も枚挙にいとまのない所である。しかし,本症のいわゆる切迫期例について,まとまつた経過観察と予後について述べているものは少ない1)。周知のごとく,網膜静脈閉塞症において最も重要な中心静脈閉塞の場合,一般には,動脈閉塞のように突如として起こることはまれであり,むしろある期間を経て徐々に発生してくるものと考えられるが,実際には,われわれのところを訪れる時点では閉塞が進展して,不完全ないしは完全閉塞に至つている場合が多いものである。
 著者は最近のおおよそ4年間に,切迫期と診断した5症例5眼を経験し,これらに対して,線維素溶解酵素剤Urokinaseと抗凝固剤Warfarinを主として用い,全経過を観察することができたのでその結果を報告する。

原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism)の1例

著者: 田中幸子

ページ範囲:P.899 - P.903

緒言
 原発性アルドステロン症は1955年Conn1)によりはじめて記載された疾患で,本症では周期性四肢麻痺,発作,多飲,多尿,脱力などの臨床像があり,高血圧,低K血,腎濃縮力低下が100%例外なくみられているといわれている。本邦においては1957年,鳥飼2)によりはじめて報告されて以来,年ごとにその症例数は増加しているが,眼科領域からの報告は少ない。今回本症の1例を経験し,その術前,術後の眼底変化を観察する機会を得たので報告する。

眼科における超音波Doppler法の応用に関する研究(第3報)

著者: 山本由記雄 ,   平野史郎 ,   鏑木ふく代 ,   冨田美智子 ,   末野三八子

ページ範囲:P.905 - P.914

緒言
 非観血的な血流速度の測定法として超音波Doppler法が開発されてから久しいが,どういう理由か,これが眼科領域に導入されることがなかつた。もつとも,故里村茂夫が心臓の運動に超音波Doppler効果の応用の成功後,血管壁の振動にきこえる連続雑音を血流に基づくと判定し,鈴木一三九とともに眼球の超音波干渉による血流を発表し1),さらに周波数弁別器方式による脈絡膜動脈と大循環系との超音波擾乱音の記録に成功した2)のが最初であるが,その後の空白が意外に長期にわたり,最近になつて,谷口らのソナグラフ方式3)〜5),Goldberg,R.E.6),所7)の0交叉周波数計方式,さらにMüller,H.R.8)の同方式があげられるようになつた。このうち,対象とする血管は,所は毛様体内血管,Goldberg,R.Eと,Müller,H.R.および谷口らの実験は眼動脈ないしはその分岐血管であり,眼球内血管に関する測定は所の家兎眼毛様体血流速の報告があるにすぎない。
 私どもは,主として眼底血流速度を,0交叉周波数計を利用した超音波血流計を試作し,その測定に成功したので報告する。

乳幼児の眼窩部腫瘍とその血管造影

著者: 山本節 ,   田渕昭雄

ページ範囲:P.915 - P.919

緒言
 乳幼児の眼窩およびその周辺の病変には先天性異常によるものが相当あるが,眼窩部腫瘍もかなりの頻度でみられ,診断困難なものも少なくない.それらの中には予後の悪いものも含まれており,迅速かつ慎重な態度で臨む必要がある。眼窩部疾患の補助診断法として,一般レントゲン検査,眼窩部の血管造影,orbitography,ラジオアイソトープを用いたscanning,超音波診断法など種々の検査法が行なわれている。中でも血管造影法が最も明瞭にして,しかも,実用的と考えている。
 私たちは最近,乳幼児における眼窩部の血管腫,眼窩内脳髄膜嚢瘤,神経線維腫などの症例に対して血管造影を行ない,診断治療上非常に有効であつたので報告する。

眼瞼癌腫に対するBleomycinの治療効果

著者: 大石正夫 ,   今井正雄 ,   西塚憲次

ページ範囲:P.921 - P.927

緒言
 1962年本邦梅沢博士によつて発見された新しい抗腫瘍性抗生剤Bleomycin (以下,BLM)は,臨床的に市川ら(1966)により扁平上皮癌に対して有効性が認められて以来,皮膚,泌尿器科をはじめとする各科領域で臨床応用されてきている。
 眼科領域における従来の報告例は,土方ら(1970)の眼瞼のbased celled carcinomaおよびsquamo-basal celled carcinoma各1例に対する治験例,および咽ら(1971)のRetino—blastoma 2例に対する使用例をみるにすぎない。

クモ膜炎開頭術後の治療観察期間中にみられた視力,視野,髄液の変動の動態について

著者: 山中昭夫

ページ範囲:P.929 - P.935

緒言
 本邦において井街1)が昭和15年(1940)に視力,視野,髄液圧の動揺する球後視神経炎症例に,視交叉部クモ膜炎の存在を想定し,これに対し積極的に治療を加える目的で開頭により視交叉部露出を行ない,良い成績を得た2)。以来現在に至るまで同疾患に対しての開頭手術療法についての検討が行なわれ3),その有効性は確立したと一般に認められるに至つた。
 一方欧米においては,Cushing4)以来視交叉部クモ膜炎の存在,およびこれに対する開頭術の有効性をのべる論文が多数見受けられる5)6)にもかかわらず,なお一般的でない印象を受ける。

酸性ムコ多糖加PVA架橋ゲルの薬物のCarrierとしての臨床への応用(その1)

著者: 神谷貞義 ,   山本時彦 ,   北尾國男

ページ範囲:P.937 - P.942

緒言
 われわれは先の1973年度中部眼科学会において,眼透光体に類似の挙動を示す不定型ゲルと題して,ポリビニールアルコール単独もしくは,これに水溶性酸性多糖類を加えた溶液にγ線を照射することによつて得られたゲルについて報告した。
 そして,このものは,ポリビニールアルコール(PVA,Polyvinyl Alcohol)架橋物によるネットワーク形成したものであり,ゲル形成の電合条件を変えることにより,ポアの大きさを任意の大きさにでき,かつこれに親水性の生体内に存在する酸性多糖類(ムコ多糖類)か,これに物性の近い酸性多糖類,もしくはその変性物の平均分子量5〜6万のものを共存させ,PVAのネットワーク中に分割incoporatcすることにより,物性的に眼透光体に類似する挙動を示すことを明らかにした。

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第28回日本臨床眼科学会・日程

ページ範囲:P.946 - P.951

第78回日本眼科学会印象記

第1会場第1席〜第13席—(結膜・感染症・ブドウ膜炎・硝子体),他

著者: 内田幸男

ページ範囲:P.953 - P.977

 定刻に開会式が始まる。ここ教育会館もいろいろな学会を通じて馴染みとなつた。鹿野理事長の開会の辞で,国際眼科学会が本年のパリに次いで,日本で開かれることがほぼ決定した段階にきていることが知らされる。全世界が相手なので,会期や開催地を一旦きめると変更不可能とか,大変なことである。今学会が春闘ゼネストに一致したことは古今未曽有のことであり,大塚会長の挨拶ももつぱらこの経緯についてであつた。東京でも交通に便で,2会場が持てる所は2,3しかなく,日時の変更ももし本会場をとるとなると,12月まで使用可能の日はなかつたとのことである。ゼネストそのものも今までにない大規模なものであり,本日まで国鉄も3日間止まつたままである。出て,見て,聞いて,教えてもらえばよいだけの私でさえ,今日の開催の可否がここ数日間気になつて仕方がなかつた。大塚会長はじめ医歯大の諸先生のご苦労は想像に余りある。4日前から準備のため,近くに泊まられた方も多いという。「2日分を1日にまとめ,今日開けただけでも助かつた。開催不能の場合は腹でも切らねばと考えた」という大塚会長の言葉には,一途にこの学会にかけられた熱意のほどが感じられた。ただし会長の「ハラキリ」に関しては,隠された貴重な裏話しがあると聞く。私が述べては興味半減,どうか会長ご自身の口から伺って頂きたい。

GROUP DISCUSSION

第10回眼感染症

著者: 小林俊策

ページ範囲:P.979 - P.982

1.ブドウ球菌性膿痂疹の院内多発例について
 昭和48年2月から3月にかけて収容された新生児106名のうち18名にブドウ球菌性膿痂疹が発症した。眼瞼縁炎のもの5名,眼瞼縁炎と新生児天疱瘡のもの5名,新生児天疱瘡のみのもの8名であつた。
 本症が集団的に発生したのは新生児室の暖房用通風口からの落下細菌によるためと推定された。原因菌はStaphylococcus aureusであつた。

小児眼科

著者: 湖崎克

ページ範囲:P.983 - P.986

1.Kasabach-Merritt症候について
 1940年,Kasabach-Merrittが血管芽細胞脚と血小板減少症の合併例を発表して以来今日まで,内外で約90例の同一症例が発表され,今日Kasabach-Merritt症候群を呼称されている。血管腫は通常上下肢に出現するが,本症例では眼窩および下顎部にみられ,特に眼窩に出現したのは文献上本症例がはじめてである。10カ月男子にみられたKasabach-Merritt症候群を紹介するとともに,Orbital Venography所見,病理組織所見,下顎部放射線治療により眼窩の血管腫が消退し,さらに血少板が著明に増加したことを報告する。

コンタクトレンズ

著者: 中章章

ページ範囲:P.987 - P.989

 曲谷の開会の辞,柴田の司会,はじめに中島がソフトレンズ特にその副作用について意見をのべた。予定のプログラムに多少の変更および追加があつた。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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