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臨床報告
眼科における超音波Doppler法の応用に関する研究(第3報)
著者: 山本由記雄1 平野史郎1 鏑木ふく代1 冨田美智子1 末野三八子1
所属機関: 1都立駒込病院眼科
ページ範囲:P.905 - P.914
文献購入ページに移動非観血的な血流速度の測定法として超音波Doppler法が開発されてから久しいが,どういう理由か,これが眼科領域に導入されることがなかつた。もつとも,故里村茂夫が心臓の運動に超音波Doppler効果の応用の成功後,血管壁の振動にきこえる連続雑音を血流に基づくと判定し,鈴木一三九とともに眼球の超音波干渉による血流を発表し1),さらに周波数弁別器方式による脈絡膜動脈と大循環系との超音波擾乱音の記録に成功した2)のが最初であるが,その後の空白が意外に長期にわたり,最近になつて,谷口らのソナグラフ方式3)〜5),Goldberg,R.E.6),所7)の0交叉周波数計方式,さらにMüller,H.R.8)の同方式があげられるようになつた。このうち,対象とする血管は,所は毛様体内血管,Goldberg,R.Eと,Müller,H.R.および谷口らの実験は眼動脈ないしはその分岐血管であり,眼球内血管に関する測定は所の家兎眼毛様体血流速の報告があるにすぎない。
私どもは,主として眼底血流速度を,0交叉周波数計を利用した超音波血流計を試作し,その測定に成功したので報告する。
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