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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科29巻1号

1975年01月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・206

Kayser-Fleischer輪を示した一少女例

著者: 瀬戸川朝一 ,   松浦啓之 ,   富長瑞穂

ページ範囲:P.5 - P.6

〔解説〕
症例:11歳女
初診日:1973年6月26日

臨床報告

諸種点眼薬の軟性コンタクトレンズ内へのとり込みと放出に関する研究—第2報抗生物質点眼薬について

著者: 水谷豊 ,   三輪克治 ,   渡辺恵美子

ページ範囲:P.7 - P.14

I.緒言
 第1報において,縮瞳剤であるピロカルピンの軟性コンタクトレンズ(以下SCLと略す)へのとり込みと放出について詳細に報告したが,今回は眼科診療上しばしば用いられる抗生物質について同様の研究を行ない,新しい知見を得たので報告したいと思う。

先天性全色盲眼の螢光眼底像と視覚誘発反応

著者: 中塚和夫 ,   三島恵一郎 ,   深田高一 ,   千葉剛次

ページ範囲:P.15 - P.20

緒言
 先天性全色盲(ここでは桿体一色型)は単に顕著な色覚異常のみでなく,中心視力障害,眼振,差明を合わせ伴い,かつ部分色盲とは異なつた遺伝形式1)であるということから,多くの研究者の興味をそそり,種々の研究が行なわれてきた。特に光覚,色覚に関しての報告は数多い。今回われわれは,典型的な先天性全色盲患者に,近年その診断的価値が重視されてきた螢光眼底写真像と,視覚誘発反応(VEP)を求め,興味ある結果を得たので,その他の成績とあわせ報告する。

内斜視と縮瞳剤—第6報新しいバリラックスレンズII型の調節性内斜視への応用

著者: 束野美世子 ,   尾林満子 ,   寺門律子 ,   石川哲

ページ範囲:P.21 - P.29

緒言
 内斜視,特に調節性内斜視の非観血的療法として眼鏡矯正,縮瞳剤使用,バイフォーカルレンズ,バリラックスレンズI型,オーソプティクス(視能訓練)などが行なわれている。
 1956年Burianは,調節性内斜視で近見時に残余角を有する症例にバイフォーカルレンズを使用し,良好な成績を得たと報告している。本邦では内藤・石川らがバイフォーカルレンズを,田沢・魏・石川らはバリラックスI型をそれぞれ調節性内斜視に応用し,良好な成績を報告している。

眼底循環異常と腎所見—第1報症例報告ならびに網膜病変の形態観察

著者: 高山東洋 ,   佐々木秀樹 ,   小玉隆一 ,   川上隆 ,   織田孝英 ,   池田直人

ページ範囲:P.30 - P.40

緒言
 腎疾患と眼底病変に関して,従来より多方面にわたつて多くの報告がある。その大部分が腎機能異常を伴う血圧亢進にさいしてみられる眼底病変として記述されているのが現状である。
 しかし腎性網膜症と他の高血圧性網膜症には質的な差異があるとして,鑑別が可能であると示唆するものもあり1)2),最近の腎を中心とした血圧の変化,血管障害に関する研究がすすめられるに従い,いわゆる腎性網膜症あるいは腎性高血圧症による網膜病変と称せられるものの成立には,高血圧以外の要素が含まれていることが考えられ,単に高血圧性変化として理解するに止めることに疑問がある。

糖尿病に合併した瞳孔異常を伴わない動眼神経麻痺の症例

著者: 吉田雅子 ,   宇山昌延

ページ範囲:P.45 - P.48

緒言
 糖尿病に外眼筋麻痺の合併が多いことは広く知られている。ことに瞳孔異常を伴わない動眼神経麻痺をおこすことがその特徴であると,外国では報告されている。
 しかしわが国では,このような症例の報告は少なく,また臨床的にかかる症例に遭遇することも珍しい。

システイン点眼剤による角膜潰瘍の治療

著者: 平野潤三 ,   田邊竹彦 ,   田邊詔子 ,   佐竹成子 ,   山口元子

ページ範囲:P.49 - P.54

緒言
 角膜潰瘍の発生や進行にコラゲナーゼが関与することがわかり,その阻害剤の研究も進んで,本症の治療法は近年著しく進歩した。
 多数のコラゲナーゼ阻害剤のうち,効果の確かさと刺激性や安全性などを考え合わせて,われわれは臨床応用にはシステインを最良と考え,実際これを角膜ヘルペスに点眼して十分な効果を収めることができた15)。ところがその唯一の欠点は,水溶液がはなはだ不安定なことである。そのため作りおきがきかず,投与のつど新調する。その上ふつうは隔日,夏季には毎日作りかえねばならない。これはまことに煩わしい。

眼感染症に対するAmpicillin類似新抗生剤の基礎的,臨床的検討

著者: 大石正夫 ,   西塚憲次 ,   本山まり子 ,   小川武 ,   田中幹人

ページ範囲:P.55 - P.62

緒言
 近年,広域ペニシリンであるAmpicillin (A—BPC)の誘導体として,経口投与により消化管からの吸収にすぐれて,高い血中濃度がえられることを特徴とする合成ペニシリンが相ついで登場した。すなわちABPCのベンゼン核のparaの位置にOHを導入したAmoxycillin (AMPC)と,ABPCのpivaloyloxymethyl esterよりなるPivampicillin (PVPC)の2剤である。
 AMPC,PVPCはともに同量のABPC内服時の2〜3倍高い血中濃度がえられ,各臓器へも高濃度に移行することが認められている。眼科的には眼内移行の点が興味あるところである。

Blowout fractureの予後について

著者: 深道義尚 ,   河井克仁 ,   稲富誠 ,   比嘉弘文

ページ範囲:P.63 - P.66

緒言
 Blowout fractureは眼窩縁に強い衝撃を受けることなく,直接眼窩内容に強い外力が働いた場合,眼窩壁の中で最もうすく,弱い眼窩下壁が,急激に上昇した眼窩内圧のため,下方の上顎洞内にぬけるように骨折をおこすものをよんでいる。このような発生機転とともに,受傷直後より著明な眼球の上下方向に対する運動障害をおこすことの多いことで,眼窩骨折の中でも特異なものといえる。
 本症に対する治療は眼筋の機能障害を治す意味において,できるだけ早期に嵌屯した外眼筋を含めた眼窩内容の整復と再脱出の防止につきる。この目的のため,従来から眼窩側および副鼻腔側から嵌屯組織の整復を行ない,また骨欠損部の修復に自家骨片,Silicon板などを用いる手術法1)4)が多く発表されている。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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