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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科29巻10号

1975年10月発行

文献概要

臨床報告

遠近両用眼鏡レンズの新構想

著者: 藤井良治1

所属機関: 1金沢灘病院眼科

ページ範囲:P.1137 - P.1140

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緒言
 眼鏡のレンズを上下2つに区切つて遠用と近用とに使い分ける方式は,避雷針の発明で知られるアメリカの科学者,また政治家としても有名だつたベンジャミン・フランクリン(1706〜1790)の発想によるもので,現在ではバリラックスやズームなどと呼ばれる累進多焦点のタイプも含めてさまざまの遠近両用眼鏡がその便利さを買われて普及している。
 さて,現在一般によく使われている遠近両用眼鏡レンズでは近用部がレンズの下方部分に設けられているが,ヒトの眼の自然な働き方をみると,眼球つまり視線が下に向くほど調節力が大きくなるというものではない。たしかに外界の物体は下方に存在するものほど近くになるという傾向は正しいが,実際にヒトが近くの細かいものを見ようとする場合は顔面を下に向けるため,眼球はたいして下転しない場合の方が多い。実際にヒトが視線を下に向けるのは,その頻度からみれば「歩くときに足もとを見る」場合が最も多く,その場合に使われる調節力はせいぜい1D足らずにすぎない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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