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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科29巻2号

1975年02月発行

文献概要

連載 眼科図譜・207

家族性原発性アミロイドーシス—ガラス綿様硝子体混濁("glass-wool"vitreous opacities)

著者: 猪俣孟1 生井浩1 岡山昌弘2 大島健司3

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部第二内科学教室 3福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.97 - P.98

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〔解説〕
 家族性原発性アミロイドーシスはアミロイドが身体諸種の臓器組織に異常沈着し,多彩な臨床症状を呈する原因不明の遺伝性疾患である。遺伝形式は常染色体優性で,20歳代に発病し,経過は10年ないし20年である。主な臨床症状は全身的には末梢神経障害,自律神経障害,消化器障害などで,眼症状としてはいわゆる「ガラス綿様硝子体混濁」("glass-wool"vitreous opacities)が特徴的である1)。眼症状は硝子体混濁による飛蚊症(dancing black spots)や視力低下の他に,羞明,眼瞼痙攣,眼瞼皮下出血,眼球突出,眼球運動障害,内眼筋麻痺,瞳孔異常,網膜出血および白斑,網膜動脈周囲炎などが挙げられている1)〜3)
 本症例(死亡時39歳,男)はガラス綿様硝子体混濁を主徴とし,反復性の悪心,嘔吐,腹痛などの消羞化器障害および意識障害発作を示し,末期には周期性無呼吸,四肢麻痺などをおこして死亡した患者で,生前に直腸生検によつて原発性アミロイドーシスの診断がなされたものである4)。なお本症例の同胞8人のうち3人にも類似の硝子体混濁が確認されている。わが国では本症は過去に8家系が報告されているが5),眼球剖検が行なわれたのは本例が最初である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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