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特集 第28回日本臨床眼科学会講演集(その1) 学会原著
ブドウ膜炎の一原因としての脈絡膜悪性腫瘍の臨床的意義
著者: 吉岡久春1 杉田隆1 青木昭彦1
所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.157 - P.167
文献購入ページに移動ブドウ膜炎はその半数が原因不明であるが,この原因不明のブドウ膜炎のうち,高年者にみられるものとして,われわれはさきにコレステリン結晶によるものの存在を臨床例および動物実験から推定した。従来ブドウ膜炎の原因の項をみても,ブドウ膜の腫瘍をあげている教科書は,とくにわが国ではまつたくないようである。しかし40歳以上の高年者の原因不明で,治療に全く反応しないブドウ膜炎をみたら,ブドウ膜の悪性腫瘍の可能性を考えることが重要であること,さらに脳神経症状,あるいは眼球突出を伴うブドウ膜炎をみたら,悪性リンパ腫を考慮すべきことを強調し,ブドウ膜の悪性腫瘍が原因不明のブドウ膜炎の原因の一つとして臨床的に見落とされないよう注意を喚起するのが目的である。
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