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特集 第28回日本臨床眼科学会講演集(その2) 学会原著
13番染色体長腕部分欠失を認めた網膜芽細胞腫の1例
著者: 小沢博子1 田中靖彦1 田村昭蔵2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室 2慶応義塾大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.253 - P.259
文献購入ページに移動1963年Leleの報告1)以来,網膜芽細胞腫の患児に染色体異常をみた報告はこれまでに12例あり1)〜12),このうちDown症候群とTriplo X症候群との合併例にみられた一例12)を除き,他の11例は,いずれもD群染色体長腕の部分欠失(Dq—)または輪状染色体(Dr)と報告されている。11例のうち,異常染色体が同定されたものは5例で,すべて13番染色体の異常と報告されている。わが国では染色体異常を伴う網膜芽細胞腫の症例はまだ報告されていない。
著者らはこれまでに6例の網膜芽細胞腫の染色体検索を行なつてきたが,今回,視力発達遅延を主訴として来院した5カ月の女児に,両側性網膜芽細胞腫を発見し,染色体検査の結果,13番染色体長腕の部分欠失と判明した一例を経験したので報告する。
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