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特集 第28回日本臨床眼科学会講演集(その4) 学会原著
多発性硬化症の眼症状を中心とした再発因子の追究—特に気象との関連性について
著者: 棚橋雄平1 河本道次1 川名洋美1 橘川真弓1 大岡良子1
所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.541 - P.547
文献購入ページに移動気象の人体に与える影響については,紀元前より気付かれており古くはヒポクラテスも季節や天候が健康や疾病に影響をおよぼすことをのべている。その後も多くの気象学的考察がなされたが,真に科学的な気象と人間の関係の追究は19世紀の終り頃から始まり,とくに前線と特定疾患との関係を大規模に調査し近代気象医学研究の先駆をなしたのは,1929年De-Rudder B.1〜2)であつた。彼は多くの気象病が不連続線の通過に関連して誘発されることを示して注目され,リュウマチ,疼痛,心臓循環器障害,急性緑内障等を分類している。また最近の研究では,気管支喘息,蕁麻疹,腸重積症,ベーシエット病等が,その発症増悪と前線通過との関連において気象病としての性格をもつことが立証されている。一方,多発性硬化症(以下MSとす)については,本邦では3)1951年桑島により急性球後視神経炎とMSとの関連が追究され,また内科的には1954年冲中4)〜5)により本症の存在が確認されたが,いまだその原因の不明な点において,今後の研究の余地を残している。
先にわれわれ6)は,MSの眼症状を中心とした統計的観察を行ない,その臨床像の一端をあきらかにしたが,今回MSの再発因子の追究の一つとして特に気象病にもつとも関係があるとみなされている前線の通過との関連を検討し,MSが気象病的要素を持つと思われる若干の知見をえたので報告する。
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