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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科29巻6号

1975年06月発行

文献概要

特集 第28回日本臨床眼科学会講演集(その5) 学会原著

新しい緑内障手術—前房強膜内トンネル(A-I Tunnel)

著者: 菅謙治1

所属機関: 1大阪市北野病院眼科

ページ範囲:P.697 - P.703

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緒言
 緑内障に対する手術として,Scheie手術,虹彩はめこみ術,管錐術,Walser手術などの炉過手術が一世を風靡したが,これらには多くの合併症が存在するために,新しい緑内障手術としてTrabeculotomy1)2),Trabeculectomy3)(またはTrabeculo-canalectomy),Sinusotomy4),それにTrabeculotomyとSinusotomyとを併用するInternal (またはTunnel) Sinusoto—my4)などが登場してきた。これらの新しい手術はいずれも房水排出の抵抗の場のみを取り除かんとしたものであつたが,必ずしもすべてにおいて初期の目的が達せられているとは限らない。すなわちSinusotomyの奏効機序に関しては,単性緑内障の抵抗の場がSchlemm管内側組織と考えられているために多くの異論がとなえられ,またTrabeculectomyに関してもこれによつてSchlemm管の切断端が開口し,房水がこの開口部から排出されるというようなことはありえないとの意見が提出されている。したがつて新しい緑内障手術の中で,いまだ100%確実ではないとしても,一応理論的な基盤を持つているのは今のところTrabeculotomyだけであろう。しかしT—rabeculotomyは高度な技術と熟練を要する手術で,誰もがすぐに行なうというわけにはゆかない手術術式である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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