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臨床報告
腹臥位全身麻酔下の手術中,長時間にわたる眼球圧迫のために網膜中心動脈閉塞症をおこした一症例について
著者: 木村肇二郎1 大沢満雄1 山川高子2 原孜3
所属機関: 1慶応大学医学部眼科学教室 2済生会宇都宮病院 3原眼科医院
ページ範囲:P.763 - P.767
文献購入ページに移動網膜中心動脈の完全閉塞をきたす原因として,塞栓症,血栓症,攣縮症などが良く知られているが,外部からの機械的な眼球の圧迫が原因で閉塞をきたすことはあまり知られていない。このことについては1948年Slocum,O'Nealら1)により,全身麻酔中に眼球が圧迫されたために失明に至つた例が最初に報告されて以来,外国ではJaffe2),Gillan3),Hollenhorstら4)5)の報告があり,わが国においては,深沢6),秋谷7)の報告例があるにすぎない。今回著者らは整形外科においてLa—minectomieの手術を全身麻酔下で腹臥位にて実施中,右眼球がやく4時間にわたり頭部固定装置により圧迫されたために,網膜中心動脈の完全閉塞をきたし,不幸にして失明に至つた一例を経験したのでここに報告する。
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