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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科29巻7号

1975年07月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・212

虹彩異色の1例

著者: 鈴木宜民 ,   千葉次郎

ページ範囲:P.799 - P.800

〔解説〕
症例:小野某男4歳(No.1873,1975)
 生下時右眼虹彩の色調の異常を指摘され,2歳頃からは明所に出ると羞明を訴えるようになつた。

臨床報告

TVを見ながら近視を治療する光学器械について

著者: 鈴木弘一

ページ範囲:P.801 - P.809

緒言
 近視の治療に関する業績は,新しい治療薬や治療法の開発,治験験告などすでに数多くの積み重ねが行なわれてきた。これら治療法の内容もきわめて多岐にわたり,全身的な薬物療法,局所的薬物療法,理学的治療法,訓練療法や装用眼鏡に関する工夫,手術など多面的なアプローチがみられる。
 しかしながら,過去数十年にわたるこのような近視治療の発展にもかかわらず,近年の学童の近視罹患率の騰勢は変わることなく,少なくとも統計上では近視治療の困難な状況が示され,あたかもこの点において無力であつたかのごとき観がある。眼鏡は体育に不利で,破損による危険もあり,装用せねば見えぬための事故もある。近視の治療は,近視が発生,進行する時期であるところの学童期における治療と,近視としての症状が固定する25歳すぎの,主として手術を主体とした治療とに大別できるが,いずれの時期においての治療もいまだ満足すべき成果が得られていない。

全身麻酔の眼圧におよぼす影響

著者: 中谷一 ,   中内正興 ,   前田一美 ,   久保田行男 ,   笹井三郎 ,   尾原正博 ,   井上康子

ページ範囲:P.811 - P.815

緒言
 著者の一人中谷は,家兎にHalothane,Ether,MethoxyfluraneおよびBarbiturateなどで麻酔を行なつたさいの眼圧下降作用,房水循環作用などについて報告している2)4)5)が,今回は臨床的に全身麻酔にあたつて,覚醒状態から麻酔開始を経て手術直前に至るまでの麻酔の過程で,眼圧はどのように変化するかについて検討したので報告する。

家族性原発性アミロイドーシス—ガラス綿様硝子体混濁の本態と発生起源

著者: 猪俣孟 ,   生井浩 ,   岡山昌弘 ,   大島健司

ページ範囲:P.817 - P.822

緒言
 アミロイドーシスの発生機序はまだ明らかにされていない。家族性原発性アミロイドーシスの眼病理所見についても光学顕微鏡(以下,光顕と略記)観察によるいくつかの報告1)〜4)があるが,本症に特有とされる「ガラス綿様硝子体混濁」5)の発生起源は不明のままである。この硝子体混濁はアミロイド線維の沈着によるものであることが硝子体吸引によつて明らかにされ5)6),アミロイド線維が網膜血管に由来することがWongら2)によつて報告された。しかし網膜血管にアミロイド沈着が生じる機序や,網膜血管に沈着したアミロイド線維が硝子体へ出て行く機序についてはまつたくわかつていない。これらの点を明らかにするには電子顕微鏡(以下,電顕と略記)による詳細な検索が必要であるが,原発性アミロイドーシスの眼組織の電顕による研究は硝子体混濁を伴わない非家族性の1例についての報告7)があるのみで,硝子体混濁を伴つた家族性のものについてはまだ記載がない。
 さきに私どもは家族性原発性アミロイドーシスの眼球を剖検し,硝子体,網膜血管とその周囲網膜,脈絡膜内の毛様体動脈,眼球後方の毛様体神経,視神経の髄膜などの組織にアミロイド沈着が生じていたことを報告した8)。今回はこの症例について電顕による研究を行ない,アミロイド線維の沈着が網膜血管壁および」血管周囲組織からガラス綿様硝子体混濁へと進展する状況をとらえることができたので報告する。

パルス型クセノンアーク光凝固機の臨床成績

著者: 天野清範 ,   田中宏和 ,   馬場賢一 ,   小松伸弥 ,   野寄喜美春

ページ範囲:P.823 - P.829

緒言
 クセノン光凝固機は,その光源であるクセノン高圧アークランプが安定しており,出力のきわめて大であることを利用して製作されたものであるが,最近では短時間(3秒以下)オーバーチャージを行なつて,高出力を取り出す方法が一般化されてきた。また高反射率の非球面反射鏡が完成し,光束の集光能率が大となつた。われわれはこれらの技術を利用した中型光凝固機(半田屋製)を試用した。本機は最高1450Wまでオーバーチャージすることができ,従来の連続光型クセノン光凝固機(たとえば西独ツァイス社製1))に類似の性能を有しながら,装置の小型化低廉化をはかつてある。

手術

Trabeculotomy ab externoのさいに現われるニセのSchlemm管について

著者: 原たか子 ,   原孜

ページ範囲:P.835 - P.836

緒言
 Trabeculotomy ab externoを行なつた者であれば誰しも,直視下でまさしくSchlemm管(以後S管と略)を確認した(と思つた)にもかかわらず,術後の隅角検査で違う所が開放されているのを発見して愕然とした経験を持つているであろう。技術の未熟といえばそれまでであるが,手術顕微鏡の倍率を30倍位に上げても,時にこのようなことが生じるのには,他の手術に比して間違いやすいなにかがあるに違いない。私たちは今までの経験から,一見まさしくS管のように見える状態が,一寸した術者の誤つた先入感によつて顕微鏡下でも意外に簡単に作り出されることを見出した。この「ニセのS管」がどのようにして現われてくるのか,私たちの考えを述べたい。

眼・光学学会

水晶体屈折率分布の非破壊的測定法の検討

著者: 岩田耕一 ,   永田良

ページ範囲:P.837 - P.840

緒言
 眼の水晶体の内部には屈折率の分布があることが知られており,すでにその分布の測定がいくつかなされている1)〜5)。しかし,それらはいずれも水晶体を小片もしくは薄片に切りとることにより測定を行なつているため,その分布の形や屈折率の値そのものをひずませている可能性が大きく,測定の精度をあまり期待できないように思われる。
 一方,最近三次元の屈折率分布を非破壊的に測定する方法がいくつか発表されている6)〜11)13)。それらはいずれも求めたい屈折率分布を持つ物体中に種々の方向から光を入射させ,そのおのおのの入射光に対し干渉計もしくはホログラフィ干渉法で物体を通つたあとの光路長分布を測定し,得られた数多くの光路長分布のデータをもとに屈折率分布を計算するものである。この方法は水晶体などの生物体内の屈折率分布の測定に対して非破壊的であるという点で特に有効であろうと考えられる。

水晶体屈折率分布関数の理論的解析

著者: 中尾主一 ,   西信元嗣 ,   峯克彰 ,   松島省吾 ,   松田俊彦 ,   河野優子

ページ範囲:P.841 - P.844

 著者らは従来発表してきた次式のような水晶体屈折率分布関数を用いて,その特性につき理論的解析をこころみた。
Z2/A*ξ(n)2/s+X2/B*ξ(n)2/T+Y2/C*ξ(n)2/u=1……………(1)

小動物の眼底撮影法

著者: 杉町剛美 ,   糸井素一 ,   中島章 ,   普天間稔

ページ範囲:P.845 - P.847

緒言
 実験動物の眼底撮影は継時的な観察や記録が生体眼で可能であるという点で重要である。また実験動物としてラットやマウスののような小動物がしばしば対象に用いられ,これらの小動物の眼底撮影が必要となつてきた。
 しかし第1表に示すごとく,小動物眼球での実測データでは,たとえば体重290グラムのラットでは眼球直径が約6mm,角膜前面曲率半径は2.7mmと小さく,体重35グラム位のマウスになると眼球直径がほぼ3mm,角膜前面曲率半径も約1.7mmと非常に小さくなり,ヒトを対象に開発された従来の眼底カメラでは,その撮影は非常に困難になる。

GROUP DISCUSSION

小児眼科

著者: 湖崎克

ページ範囲:P.849 - P.852

A.一般演題
1.先天性両外側角膜混濁の1例(E-trisomy症候群)
 症例は家族歴に血族結婚を有し,父32歳,母32歳の第2子として1970年12月31日自然分娩により出生したが,体重2,250g,在胎41Wの未熟児および両眼の角膜混濁を主訴として生後2日目に本院へ入院した。
 入院時の検査で,未熟児および角膜異常の他に,背部および上下肢皮膚の異常,指趾の異常(細長い手指およびoverlapping,細長い足底),外性器の位置異常とくに大陰唇の発育不良,胸部および頭部異常,下肢の伸展,外転障害などを認めた。さらに胸部レ線にて心肥大が,染色体検査にてE (18)—trisomyであることが判明した。

グループディスカッション

高血圧・眼底血圧

著者: 入野田公穂

ページ範囲:P.853 - P.858

1.Ophthalmodynamograph type 22 〔Hager—Otto〕による眼動脈血圧の体位,ならびに上腕血圧との関係について
 1956年にHager-Otto氏らにより考案されたOphth—almodynamographyについては,第27回臨床眼科学会「高血圧・眼底血圧」グループディスカッションにおいて紹介するとともに,本法による健康者の眼動脈血圧についても報告した。
 今回われわれは本器を使用し,高血圧および眼精疲労を主訴とする患者等に対し,眼動脈血圧と上腕血圧を同時に測定し,それぞれの収縮期,拡張期血圧を比較検討するとともに,眼動脈血圧と上腕血圧の体位(仰臥位と坐位)による変動を調べ,その相関についても比較検討を行ない,さらにその臨床的評価につき検討した。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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