文献詳細
文献概要
臨床報告
TVを見ながら近視を治療する光学器械について
著者: 鈴木弘一1
所属機関: 1東京医科歯科大学眼科学教室
ページ範囲:P.801 - P.809
文献購入ページに移動近視の治療に関する業績は,新しい治療薬や治療法の開発,治験験告などすでに数多くの積み重ねが行なわれてきた。これら治療法の内容もきわめて多岐にわたり,全身的な薬物療法,局所的薬物療法,理学的治療法,訓練療法や装用眼鏡に関する工夫,手術など多面的なアプローチがみられる。
しかしながら,過去数十年にわたるこのような近視治療の発展にもかかわらず,近年の学童の近視罹患率の騰勢は変わることなく,少なくとも統計上では近視治療の困難な状況が示され,あたかもこの点において無力であつたかのごとき観がある。眼鏡は体育に不利で,破損による危険もあり,装用せねば見えぬための事故もある。近視の治療は,近視が発生,進行する時期であるところの学童期における治療と,近視としての症状が固定する25歳すぎの,主として手術を主体とした治療とに大別できるが,いずれの時期においての治療もいまだ満足すべき成果が得られていない。
掲載誌情報