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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科29巻7号

1975年07月発行

文献概要

臨床報告

家族性原発性アミロイドーシス—ガラス綿様硝子体混濁の本態と発生起源

著者: 猪俣孟1 生井浩1 岡山昌弘2 大島健司3

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部第2内科学教室 3福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.817 - P.822

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緒言
 アミロイドーシスの発生機序はまだ明らかにされていない。家族性原発性アミロイドーシスの眼病理所見についても光学顕微鏡(以下,光顕と略記)観察によるいくつかの報告1)〜4)があるが,本症に特有とされる「ガラス綿様硝子体混濁」5)の発生起源は不明のままである。この硝子体混濁はアミロイド線維の沈着によるものであることが硝子体吸引によつて明らかにされ5)6),アミロイド線維が網膜血管に由来することがWongら2)によつて報告された。しかし網膜血管にアミロイド沈着が生じる機序や,網膜血管に沈着したアミロイド線維が硝子体へ出て行く機序についてはまつたくわかつていない。これらの点を明らかにするには電子顕微鏡(以下,電顕と略記)による詳細な検索が必要であるが,原発性アミロイドーシスの眼組織の電顕による研究は硝子体混濁を伴わない非家族性の1例についての報告7)があるのみで,硝子体混濁を伴つた家族性のものについてはまだ記載がない。
 さきに私どもは家族性原発性アミロイドーシスの眼球を剖検し,硝子体,網膜血管とその周囲網膜,脈絡膜内の毛様体動脈,眼球後方の毛様体神経,視神経の髄膜などの組織にアミロイド沈着が生じていたことを報告した8)。今回はこの症例について電顕による研究を行ない,アミロイド線維の沈着が網膜血管壁および」血管周囲組織からガラス綿様硝子体混濁へと進展する状況をとらえることができたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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