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臨床報告
軟性白内障に対する二方向吸引術
著者: 澤充1
所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1019 - P.1023
文献購入ページに移動先天性白内障を主とした軟性白内障に対する吸引術は古くから行なわれており,Ⅱ〜Ⅲ世紀にすでに存在したとされている。19世紀に至り,Laugier4)10)らにより再び行なわれるところとなり3),1960年Scheie13)の発表以来多くの人々の注目を集め,さらに技術的に進歩がもたらされた。Scheie,Patonら1)8)11)12)14)は吸引のみを行なつたが,Ferguson5),Fuchs7),Fink6)らはDouble-barreled cannulaを使い吸引と灌流を同時に行なうことにより,前房を常に維持し,手術操作をより容易にする方法で吸引術を行なつた。Girard9),Barraquer2)はこうした方法をさらにすすめ,未熟白内障等においても,まず水晶体切割術を行なつた上でしばらく間をおいて吸引するという従来の方法と異なり,両手術操作を同時に行なえるように灌流針を改良し,灌流,吸引両系統のいずれかを術者と助手とで操作することで手術をおこなつてきた。わが国においても桑原がScheieの方法から発展して吸引を行ない15)〜17),また他に竹内18),増田19)らの報告がある。
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