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臨床報告
網膜嚢胞を伴つた網膜剥離の一例
著者: 小沢勝子1 高井みちえ1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1038 - P.1042
文献購入ページに移動緒言
網膜剥離を伴う網膜嚢胞については,外国では比較的多数の報告があるが,わが国の報告例はきわめて少ない。網膜剥離に嚢胞を伴つているものは,百々ら1)は850眼中2眼(0.2%),白井ら2)は約400眼中2眼(0,5%)と報告している。網膜嚢胞はsenile retinoschisisの結果として生ずると考えるものがあるが,網膜剥離と網膜嚢胞を同時に認める場合,綱膜嚢胞またはretinoschi—sisと網膜剥離との因果関係,すなわちretino—schisisが以前から存在していて,retinoschisisの内外層両方に裂孔を生じて網膜剥離となつたのか,進行の遅い剥離網膜に網膜嚢胞を生じたのかが問題となり,その診断は非常に困難な場合がある。しかし両者は病因のみならず,治療,予後の上からも鑑別する必要があると考える。著者らは最近,片眼の耳側下方に巨大な網膜嚢胞を持つ網膜剥離症例で,scleral indentationにより嚢胞の末梢に裂孔を認め,裂孔閉鎖術により治癒させた症例を経験したので報告する。
網膜剥離を伴う網膜嚢胞については,外国では比較的多数の報告があるが,わが国の報告例はきわめて少ない。網膜剥離に嚢胞を伴つているものは,百々ら1)は850眼中2眼(0.2%),白井ら2)は約400眼中2眼(0,5%)と報告している。網膜嚢胞はsenile retinoschisisの結果として生ずると考えるものがあるが,網膜剥離と網膜嚢胞を同時に認める場合,綱膜嚢胞またはretinoschi—sisと網膜剥離との因果関係,すなわちretino—schisisが以前から存在していて,retinoschisisの内外層両方に裂孔を生じて網膜剥離となつたのか,進行の遅い剥離網膜に網膜嚢胞を生じたのかが問題となり,その診断は非常に困難な場合がある。しかし両者は病因のみならず,治療,予後の上からも鑑別する必要があると考える。著者らは最近,片眼の耳側下方に巨大な網膜嚢胞を持つ網膜剥離症例で,scleral indentationにより嚢胞の末梢に裂孔を認め,裂孔閉鎖術により治癒させた症例を経験したので報告する。
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