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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科29巻9号

1975年09月発行

GROUP DISCUSSION

眼の公害・医原性疾患

著者: 今泉亀撤1

所属機関: 1岩手医大

ページ範囲:P.1075 - P.1085

文献概要

ラットの紅涙分泌現象について
 有機燐剤による眼障害の発症機序については,有機燐剤の抗コリンエステラーゼ作用により蓄積されるアセチルコリン(以下Ach)の役割が重視されている。この点を確認する意味で,演者はラットにAchを皮下注射して,その眼および付属器官にいかなる変化が惹起されるかについて検討した。Achの少量を1回皮下注射した場合,肉眼的には口のそしやく様運動,紅涙分泌,虹彩血管の拡張がみられ,これらの現象はアトロピンの前処置(腹腔内注射)により完全に抑制された。ネムブタールの前処置では口のそしやく様運動は阻止されたが,紅涙分泌は抑制されず,かなりの量の唾液が口外に排出された。このことから,口のそしやく様運動や紅涙分泌は副交感神経系を介して誘起されたものであり,さらに前者は分泌を促進された唾液の嚥下に関する運動と考えられた。
 Achをくりかえし投与(20〜60回)した例では,虹彩後面上皮細胞の萎小扁平化,毛様体突起の毛細血管の拡張充盈,細胞配列の異常が認められ,これらの所見から眼内圧の変化が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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