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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科3巻11号

1949年11月発行

雑誌目次

綜説

屈折特に近業近視(學校近視)及び強度近視の原因に就て

著者: 佐藤邇

ページ範囲:P.470 - P.476

 私は此の論文の次に最近の近視の種々な説を批判評價して見る豫定である。此の批判と評價の中には私の近視説も出て來る。併し私の近視説は從來の眼軸説でなくて,水晶體屈折力の適應説であつて,一般の考えとは異るものであるため,良く理解されていない樣に思う。幸に紙數を充分に與えられる機會を得たので,批判の一つの對稱となる可き私の近視説を成る可く理解し易い樣に圖も含めて述べさせて頂く事にした。

學會だより

眼潰しの刑

著者: 大矢全節

ページ範囲:P.476 - P.476

 ◇ベール美術博物館に久しい以前から極秘にされていた一つの繪畫が保存せられていた。この繪畫が出來た時代は相當古く罪人の目玉を石炭酸のような劇藥で燒灼する模樣が描かれている。
 原畫は1520年頃にハンス・ホールバインの筆になると傳えられている。

第43回中國四國眼科集談會

ページ範囲:P.490 - P.490

1.白内障手術後の稀異なる偶發症2例 岸田一登(廣島醫大)
2.齒性眼窩蜂窩織炎の1例梶ケ谷保一(廣島醫大)

第十九回九州眼科集談會

ページ範囲:P.495 - P.495

1.眼窩炎性僞腫瘍の一例 山下喜一(熊大)
2.赤蒼性鞏膜炎の病理組織學的所見 岩重陽三(熊大)

第55回獨逸眼科醫學會總會

著者: 樋田敏夫

ページ範囲:P.501 - P.504

9月25日(日)
午後3時半 幹事會.カペレン街22,エンゲルキング教授宅
午後8時:シュワルフシッフホテルに於て有志會合(ネッカー河北岸イエンハイマー街5)

臨床實驗

戰時中我教室に於ける眼科傷の統計的觀察

著者: 中野公正 ,   和田暢夫 ,   谷口慶晃 ,   野島嘉郞 ,   王義雄

ページ範囲:P.477 - P.480

緒言
 戰時には一般外傷と共に眼外傷も増加しているのであろうということは容易に想像される。余等は昭和12年7月より昭和20年8月の終戰迄の我教室の外來患者に就て眼外傷の統計を調査したので,いささか舊稿に屬すが,何等かの參考になれば幸いであると思い敢て報告する。

中村氏試視力表のラ環と平假名の同種間對應(第1報)

著者: 小島克

ページ範囲:P.480 - P.482

 中村氏試視力表で,視認力に關する2〜3の點を記したい.
 1.ラ環(以下Cとし,表の4行目のCをC4,5行目をC5とす)に就き相關表を作る.γc5, c4(相關係數)は0.94相關比はy2c5, e4.0.89 η2c4.c5 0.90である.

中村氏試視力表のランドルト環と平假名の間對應について(第2報)

著者: 小島克

ページ範囲:P.482 - P.483

 ランドルト環と平假名視標との間の關係を,相關表その他から調べて,同種間視標のそれとの異同につき記したい.

中村氏試視力表の數字と他種視標の對應について

著者: 小島克

ページ範囲:P.484 - P.485

 中村氏試視力表によつて,同種間視標の關係を先に記した.異種視標間についてはランドルト環と平假名について記した.茲では,數字とランドルト環,數字と平假名に就き記し併せて總括的な結果を述べたい.

B.C.G接種を受けた事のある人のフリクテン—第Ⅱ報「ツ」反應陰性者の「ツ」反應追試成續

著者: 小原博亨

ページ範囲:P.486 - P.488

緒論
 予は先きにB.C.G.接種を受けた事のある人のフリクテン(以下フとす)のツ反應態度を報告してB.C.G.接種後9ケ月以内で發生したフの約半數はツ反應陰性である事を報告したが,それ等ツ陰性者に就きツ反應を追試してそれ等陰性者がB.C.G.によるフ患者か自然感染によるフであるか,亦如何にツ反應が轉するかを觀察した。
 之の追試から陰性者或は弱陽性者の中にも可成自然感染によるフが含まれている事を知つた。

暗順應經過中に於ける光度差別閾値と刺戟面々積の關係に就て

著者: 川端義雄 ,   宇山利孝

ページ範囲:P.488 - P.490

緒言
 光刺戟而視標の大きさと光度差別能に關する研究は,1865年既にH.Aubertにより研究の對稱として採り擧げられて來た。即ち氏は網膜中心部に於ては,光刺戟面が大なる程光度差別能は良好にして,光度差別閾値ΔI/Iは小なることを明かにした。爾來Guillery (1897),Garton (1907),Lasereff (1911),Heinz u. Lippay (1928)氏等により本問題が追試されて來た。而して光刺戟面視標の大いさと光度差別閾値の相互關係に就てはAubert氏の業績と等しく光刺戟面視標が大となる程光度差別閾値は小となることを認めて來たのである。然しながら此等の人々の實驗に於ては,光度差別閾値ΔI/Iの基準光度「I」に順應せる場合の成績にして,基準光度「I」に順應せざる場合,即ち「I」が最低刺戟閾値である際には,ΔI/Iは「I」の變化に伴つて,或は亦光刺戟面の大小によつて如何なる樣相を呈するものなるかに就ては,未だ何人の手によつても實驗檢討されて來なかつたのである。而して暗順應經過中に於ける最低刺戟閾値「I」に對するΔI/Iを測定せるものとしては,只だ教室の池田一三氏(昭和15年)飯沼剛氏(昭和22年)の研究あるのみなれども氏等も亦光刺戟面大小の影響に關しては何等詳述せられなかつたのである。

臨床講義

先天性緑内障(水眼)

著者: 須田經宇 ,   山下喜一

ページ範囲:P.491 - P.495

 幼兒が色々の疾患,例えば角膜實質炎,水晶體脱臼,網膜膠腫,脉絡膜血管腫,外傷等にかかつて眼壓が上昇すると眼球が擴大される。これは續發性水眼であるが,本日は原發性水眼についてお話ししたい。
症例1.竹川某,男子,生後約5ケ月(昭和24年1月22日生)

私の研究

光感覺機轉について

著者: 飯沼巖

ページ範囲:P.496 - P.498

 眼の光感覺機轉の概念はHechtによつて,網膜感光物質の光分解及び分解産物の再合成化學反應として理解されて來た。しかし前行明順應の強度如何がそれに續く暗順應經過に異つた影響を與える事實,或は川上氏等の認めた明順應曲線の振動性等は以上の考えのみを以つてしては,到底説明出來ない故に,親循環に於て化學構造相の相違した物質の生ずる程度により起る合成速度の差,(Wald),光分解と分解産物の擴散(川上),光による暗順應速度を決定する因子の出現消滅(江原)等の假説をたてることにより夫々説明している。
 しかし私は之等の問題を更に檢討する爲,暗順應經過中に於ける光感覺所要エネルギーの面から實驗及び解析を試みた。即ちNagel暗順懸計及びHippusのChro-noskopを用い,1000Luxの白色照度面に1',10'の二種類の明順應後の暗順懸經過中一定時限毎に刺戟閾値の2倍に相當する刺戟に對する反應時間を測定したところ,その結果は,暗順應開始後反應時間が次第に長くなり,Kohlrauschのknickの現われる頃一寸短くなるが,後次第に長くなり遂に一定値をとる樣になる。此の樣な反應時間の變化は,暗順應開始直後に於て1'明順應より10'明順應後の場合の方が,暗順應開始直後短縮しているのみでなく,其の後の經過に於ても延長が遲れて現われる。しかし共に同じ一定値をとつて延長は止る。

私の經驗

外傷性血眼2例

著者: 増田義哉

ページ範囲:P.498 - P.499

 外傷性血眼は敢て稀らしい疾病ではないが,最近相次で2例の血眼に遭遇し,夫々異つた興味ある轉歸をとつたので簡單に症例追加をする.
第1例,12歳,男子,約12米離れた下方から崖の上に立つていた患者の右眼に鷄卵大の石が飛來して當つたと云つて受傷後一時間して來院した者である.診るに右眼外眼部には異常を認めないが,球結膜には中等度の毛樣充血があり.角膜は透明であるが,前房には11時位から5時位にかけて上法を有する8日目程度の瞳孔領を約3分の2蔽ふ位に前房出血を認める.瞳孔は健眼と等大であるが,對光反應が稍鈍である.水晶體には溷濁を認めないが,眼底には全く光を通じない.視力右,眼前10糎指數左1.2

福島義一氏の日眼總會印象記を讀んで

著者: 倉知與志

ページ範囲:P.499 - P.500

 本年は淺學である私が日眼總會司會の大役を仰せつかつたが,これは當地が非戰災地であることに理由の大半があることゝ愚考いたした次第であるけれども,私としては名譽の限りであつて,この機會を與えられた日眼評議員諸賢,並に開催に關し絶大なる援助を惜しまれなかつた金澤眼科集談會及び教室同窓會の方々には衷心から謝意を表します。幸に大過なく總會を終了し得たのは,すべてこれら諸賢の御後援と出席各位の御協力との賜物であつて,私の感銘措く能わざるところであります。
 さて,學會終了後各誌にその印象記が掲載され本誌第3卷第6號にも福島義一教授のものがのせられたが,同教授はその中で,私が閉會の辭の中で「本年度學會に於ては未完成研究の發表が多い樣に思われた」という意味の言葉を述べた如く記述して居られるが,これはもし多數の方々がその樣に受取られたとすれば,私の表現が拙なかつたのであるから,貴重な紙面を塞いで恐縮ではあるが,一言訂正させて頂き度い。私が言わんと欲したのは「發表研究の中には立派なものもあつたが中には質的な面に於て稍々弱力なものもあつた樣に感ぜられた」ということであつて「今一息」などゝ言う用語をしたため「未完成研究」ととられたのかも知れないが,私の眞意は上述の通りであつてこれは開會の辭中で「このプログラムに並べられた60題は,とにもかくにも日本眼科の現有勢力を示すものである。

神島文雄氏の論文「偶發性前房内水晶體脱臼症の知見補遺」を讀んで

著者: 生井浩

ページ範囲:P.500 - P.500

 本誌第4卷第號に掲載された神鳥氏の上記標題の論文の結論に,脈絡膜表層部に多數の大小不同なるDalen氏樣病竈があつた。之は組織上Dalen氏病竈とは異なつている。未だ記載のない所見であると書かれてある。然し氏が本文中に記載されたところ,即ち色素上皮細層には硝子膜前面に疣状に増殖している球状病竈が數個存在している。恰もDalen氏樣病竈の樣である。而しDalen氏竈とは異つて,外周のみに色素細胞が一層をなして存在し,内部は染色性が不良となつた圓形或は楕圓形の核或は色素性を有する細胞が極めて少數散在している滲出液で充され,一體はエオジンにて淡染している。
 該部の硝子膜は健皮の脈絡膜中には細胞浸潤を認めないという所から考え,特に掲げられた寫眞から何よりも明瞭なことは,この疣状の竈は炎症性ドルーゼに外ならないということである。

手術メモ

眼瞼下垂手術(6)

著者: 中村康

ページ範囲:P.505 - P.507

 眼瞼下垂は色々な原因で起る,私共の多く行うのは先天性眠瞼下垂である。此には上眼瞼擧筋の力に代えて前頭筋や上直筋の力を利用する。眼瞼擧筋の麻痺の場合は腱の前轉法を行う。
 後天性の上眼瞼擧筋麻痺の場合は他の外眼神經支配の諸筋の麻痺もあり手術は仲々困難である。出來る限り原因療法を試み藥治療法にて治癒をはかるべきである。

診療室より

健康保健のしおり—特に眼科に必要な診療報酬點数表(その1)

ページ範囲:P.508 - P.509

診察科
初診 4點
 1,傷病診療中他の傷病發生するも初診料は請求することを得ず。
 2,第1囘の初診日より30日以内に於て2囘以上の初診あるも第2囘以後の初診料は請求するを得ず。

新醫療法解説(5)

ページ範囲:P.510 - P.510

社會保險療方針
 厚生省社會局で今回定めた社會保診療方針は左の如くで,保險醫はこの方針に基いて診療することとなつた。

社會保險取扱い(被保險者證・請求書等)について注意

著者: 編集室

ページ範囲:P.511 - P.512

 社會保險も擴大されて社會保障とならうとしている今日此の頃保險取扱ひについては色々疑義をお持ちの事と思いますので本欄を利用して保險醫各位に御注意及び御批判の事項を掲げたいと思います。何卒本欄を御利用下さい。
 尚今號は,神奈川縣民生部保險課及び神奈川縣醫師會發行のプリントを掲載致しました。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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