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総説
網膜芽細胞腫の諸問題
著者: 箕田健生1
所属機関: 1東京厚生年金病院眼科部
ページ範囲:P.1133 - P.1137
文献購入ページに移動 網膜芽細胞腫はわが国では眼内悪性腫瘍のなかで最も多く,かつ小児悪性新生物のなかでも上位の頻度を占める疾患である。近年ヨーロッパにおいて本腫瘍の発生頻度が数十年前に比べて増加しているとの報告があり1,2),その原因として本症の診断治療が正しく行なわれるようになつたことで本症患者の生存率が向上し,更に次世代に本症が遺伝することによつて家族発生例が増加したことが指摘されているが,一方では散発発生の頻度も増加しているとの報告もある1)。わが国における網膜芽細胞腫の疫学的研究は尾久3)の1945〜57年の北海道地区の報告,またMatsunaga&Ogyu4)の1900〜40年の206例の遠隔調査の報告などがあるが,本症に関する全国的規模での詳細な調査は今日までなされていなかつた。昨年,わが国では初めての試みとして1975年度網膜芽細胞腫全国登録が実施され,本症の実態が明かにされつつある5)。本文では主として,この全国登録によつて明かにされた知見を引用しつつ,本症に関する諸問題を考察する。
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