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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科30巻10号

1976年10月発行

文献概要

GROUP DISCUSSION

網膜剥離

著者: 塚原勇1

所属機関: 1京大

ページ範囲:P.1189 - P.1194

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1.網膜剥離初発症状の統計的観察
 弁状裂孔および網膜円孔による網膜剥離は臨床上よく経験されるものであるが,現在まで両者は,単に「網膜裂隙」として取扱われ,必ずしも区別ざれない傾向にあつた。今回,初発症状,自覚症状を中心とし,その相違について検討したところ,裂孔によるものでは,(1)飛蚊症等前馳症状で初発することが多く,(2)前馳症状から視野狭窄等剥離症状まての期間は多くは2週間以内,(3)胞状剥離を示すことが多く,(4)硝子体出血を伴う事が多く,(5)高齢者に好発する等の特徴を示した。一方,円孔によるものでは,①前馳症状を伴わず,いきなり剥離症状で初発し,②扁平剥離が多く,③苦年者に好発する,等といらようにかなりの相違がみられた。これら相違は,裂孔によるものでは剥離発生に硝子体の関与が多く,逆に円孔によるものでは,網膜の変性が主体となる事を示唆するものであり,今後網膜剥離を考える.上で,両者をある程度区別して取扱う必要があるものと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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