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Clinical Conference
診断および治療困難な黄斑部病変
著者: 土坂寿行1
所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1285 - P.1288
文献購入ページに移動既往歴については15年間各種の小鳥を飼育していましたが,他に特記すべきことはありません。また家族歴は家族は4名,結核等の家族歴はありません。現症は初診時,視力はVd=0.1(1.0×−6.0D),Vs=0.01(0.1×—6.0D)で中等度の近視が認められます。視野検査では,周辺視野は正常ですが,約6度の中心比較暗点があります。右眼には異常所見はありません。左眼は前眼部,中間透光体正常です。左眼眼底は黄斑部に約1/2乳頭径の境界明瞭な円形灰白色の斑点があり,周囲の網膜よりもわずかにもりあがつてcysticな感じがいたします。これは網膜深層の瘢痕と思われます。その周囲には軽度の浮腫,病巣の乳頭側の網膜下には放射状の出血があり,黄斑部輪状反射は認められません。この出血と浮腫は長期にわたり,軽快増悪を繰り返して,病巣は20カ月の間に少しずつではありますが,拡大しております。
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