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特集 第29回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著
脈絡膜循環に関する研究—第1報ICG静脈注射による赤外吸光眼底撮影法
著者: 所敬1 林一彦1 武藤政春1 浅原典郎1 佐藤公子1 吉田種臣2
所属機関: 1東京医科歯科大学眼科学教室 2東京医科歯科大学麻酔学教室
ページ範囲:P.173 - P.179
文献購入ページに移動1961年Novotny & Alvis1)により螢光眼底撮影法が開発されて以来,網膜の血行動態,網膜血管の病的変化及び血液網膜関門の状態を知る上に,重要な検査法となつている。しかしながら,この方法にも限界があると思われる。すなわち,網膜色素上皮層のフィルター作用及び脈絡膜毛細血管からの血管外漏出により,脈絡循環を詳細に撮影観察することが困難なことである。特に黄斑部においては,色素上皮層の色素含有量が多いためか,あるいはXanthophyll2,3)のために黄斑部無血管領域での脈絡膜血行状態を観察する事は,全く不可能な状態であつた。
一方,色素上皮層を通過しうる赤外線を用い,脈絡膜血行動態を観察記録する方法は,1969年Kogure4)らが脳循環の研究に,Infrared Abso—rption Angiographyを用いて以来,眼科領域にも導入され,猿の頸動脈よりIndocyanine Gre—en (以下ICGと略す)を注入し脈絡膜血管の撮影に成功した。しかし,この方法は頸動脈より注入する方法であり,日常臨床に応用するには難点がある。そこで今回は,猿の肘静脈よりICGを急速に注入し,眼底カメラを用い猿の眼底を赤外線カラーフィルムで撮影する方法で,脈絡膜循環動態をとらえるための基礎的検討を加えたので,ここに報告する。
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