文献詳細
文献概要
特集 第29回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著
黄斑部附近の網膜下新生血管に対するアルゴンレーザー凝固—老人性円板状黄斑変性の治療
著者: 広瀬竜夫1 J. Wallace1
所属機関: 1
ページ範囲:P.191 - P.198
文献購入ページに移動円板状黄斑部変性は,病因を同じくする単一疾患ではなく眼底所見よりとらえられた形態名である。同変性は老人性,遺伝性,先天性変化,強度近視,血管様線条,炎症,腫瘍,あるいは外傷等を基盤として黄斑部網膜下に血管新生,滲出,あるいは出血を起こし,網膜色素上皮または視細胞剥離,あるいはその両者を起こし,最後には黄斑部に円板状瘢痕による中心視力の永久消失を来たす1)。黄斑に瘢痕を形成した例では中心視力を改良する有効な治療法は無い。変性を起こす原因は多様であるが共通した所見はBruch膜の断裂であり,その断裂を通して脈絡膜毛細血管より,生じた新生血管が色素上皮下に増殖し,色素上皮を障害するとともに,さらに視細胞下へ増殖し,色素上皮下,視細胞下に滲出,出血を生じ網膜の変性を起こすと考えられている1,2)。
最近細隙燈顕微鏡検査,眼底立体写真および螢光眼底写真の発展にともない,臨床上網膜下新生血管の確認が比較的容易になり,かつアルゴンレーザーにより,小スポットで効果的に新生血管を凝固しえるようになつて,かつては治療不可能であつた円板状黄斑変性の治療が最近試みられるようになつた3〜5)。
掲載誌情報