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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科30巻3号

1976年03月発行

文献概要

教育講演

視覚の発達過程における視的経験の修飾の感受性をめぐる2,3の問題

著者: 植村恭夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.361 - P.369

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緒言
 小児,ことに乳幼児の時期は,視覚にとつても発達の重要な時期にあたる。この期間においては,発達に適切な視的環境(経験)と正常な眼位,屈折状態,明視を妨げる中間透光体の異常がない,視路,中枢に異常がない,など生体側の条件が必要である。すなわち,この発達の期間は,視的環境(経験)により左右されやすく,また遮眼,斜視,不同視,著明な屈折異常,白内障,角膜混濁などの影響をうけやすい外部的,内部的要因による感受性の強い時期にあたる。この感受性は,年齢の幼いほど強いものであり,乳児期にもつとも強く,幼児期,学童期と急激に減少し,年長児,成人にはなくなる。この事実は,臨床的にも実験的にも幾多の証拠が出されており,小児眼科が,乳幼児眼科と称されるほど,この視覚形成期,障害に対する感受性の時期は重要で,この時期におこる障害を予防し早期に発見し,早期に治療する重要性は強調しすぎることはない。
 さて,今回は,小児期にしばしば遭遇する2,3の眼疾患をとりあげ,これらの実験的研究を紹介し,現時点におけるこれらの疾患の概念,対策などを述べてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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