文献詳細
特集 第29回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学会原著
Familial juvenile nephronophthisis (Fanconi)を合併したamaurosis congenita (Leber)の1家系
著者: 三河隆子1 松下明子1 久保賢倫1 三井幸彦1 二宮恒夫2 吉村豊美2 宮尾益英2
所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室 2徳島大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.571 - P.575
文献概要
先天失明を伴う網膜変性は,1867年Leber1)が初めて報告した疾患でamaurosis congenita ofLeberと呼ばれている。本症は外国では比較的多く報告されているが,わが国では報告2,3)がきわめて稀であり,家族性におこつたものは1例も報告されていない。本症の合併症は多くは中枢神経系におこつているが,1961年Senior4)らは従来知られていなかつた事実として本症とfamilialjuvenile nephronophthisisとが合併した1家系を報告した。以来同様な症例がいくつか報告5〜15)され,現在では両者は一つの症候群としておこるものとみなされている。本邦では篠田2)らが1例を報告している。今回われわれは同胞6名中3名(2名は直接検査,一名は家族歴から)にfamilialjuvenile nephronophthisisと典型的なamau—rosis congenitaとが合併しておこつた1家系を経験した。他の同胞2名には,遠視性弱視が認められた。同胞の母親は全身的には正常であり,眼機能検査でも著変はみられなかつたが眼底赤道部に軽度の網膜の変性を思わせる所見が認められた。
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