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臨床報告
緑内障に対する調整的手術の考案—階段状強膜弁法
著者: 塩瀬芳彦1 神田孝子1 川瀬芳克1
所属機関: 1愛知県総合保健センター眼科
ページ範囲:P.769 - P.776
文献購入ページに移動最近の緑内障手術として,従来の炉過手術に対し流出路手術と呼ばれるtrabeculotomy1,2),trabeculectomy3,4),sinusotomy5)などが注目を集めつつある。これらの方法は房水流出路の異常抵抗部位に限局したmicrosurgeryを行なうことにより侵襲を少なくし,手術に伴う偶発症を最小限に抑える試みである。問題点としては強膜内経路における異常抵抗の局在性確認と正確な手術操作の難しさにある。特に代表的術式とされるtrabeculotomyは先端操作がblindであることから術者の熟練度により結果が大きく左右される難点がある。
一方,濾過手術の立場からの改良法としてsubscleral sclerectomyを主体とするdoubleflap法6,7)があるが,これは強膜弁を作製することにより前房開口部を保護するとともに,濾過水胞を後方に形成させ,かつ嚢状の薄い水胞形成を防ぐ利点がある。当初,流出路手術として出発したtrabeculectomyは結果的に濾過水胞を形成することから,いわゆるdouble flap法に属する濾過手術と考えられている。
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