文献詳細
臨床報告
樹氷状血管炎を呈した小児ブドウ膜炎
著者: 伊藤康行1 中野雅代1 邱信男2 竹内真3
所属機関: 1いとう眼科病院 2静岡済生会病院眼科 3帝京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.797 - P.803
文献概要
小児ブドウ膜炎として,慢性に経過する前房硝子体混濁,および眼底に限局性病巣を有し,虹彩癒着を来たす等の症例には,時に遭遇するが,初診時,主病変として網膜の動静脈が,あたかも樹氷を思わせる高度の白鞘化を呈し,経過と共に血管病変,網脈絡膜病変が消腿した症例を経験し,2年間の経過を観察した。最近10年間に,小児ブドウ膜炎は増加したというが,報告1〜9)は散見されるにすぎない。本症例は,樹氷状血管炎(fro—sted-branch angiitis)を主病変とするきわめて興味ある小児特有なブドウ膜炎の一病態を示し,Schepens,Brockhurst1),浦山12)による周辺性ブドウ膜炎についての詳細な記載はあるが,稀有な病像である。
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