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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科30巻7号

1976年07月発行

文献概要

臨床報告

再発をくり返し,悪性化した涙腺多形腺腫の1例

著者: 谷瑞子1 浅野善郎1 中村滋1

所属機関: 1国立東京第二病院眼科

ページ範囲:P.805 - P.808

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緒言
 多形腺腫—いわゆる混合腫瘍—の多くは唾液腺に発生し,涙腺の多形腺腫の発生頻度は全多形腺腫の0.5〜1.0%にすぎない1)。しかし,涙腺多形腺腫は臨床的に遭遇する機会の比較的多い腫瘍の一つであり,全涙腺腫瘍の40〜90%の発生頻度が報告されている2〜3)。多形腺腫は一般に腫瘍を完全に摘出すれば根治しうるという意見が多いが,さらに長期間にわたり術後経過を観察すると,病理組織学的に良性と診断された場合にも,再発ないしは悪性化の転帰を示す症例も決して少なくはないことも報告されている4)
 著者らは第1回の手術後34年の経過中に,再発をくり返し,その都度手術を受け,最終的には悪性化し,局所への浸潤,および肺への遠隔転移を示して死亡した右涙腺多形腺腫の1例を経験したのでここに報告し,併せて再発例の手術方法に関して考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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