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臨床報告
Epinephrine Maculopathyの1症例
著者: 伊東良子1 吉住真1 布田竜佑1
所属機関: 1熊本大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.809 - P.813
文献購入ページに移動L-epinephrineの副作用の一つであるepine—phrine maculopathyは1967年Beckerらの報告以来,欧米では数例の記載があるが,本邦ではいまだその報告をみない。著者らは,最近次のような症例を経験した。すなわち白内障手術5年後のPosner-Schlossman症候群と思われる1例に,l-epinephrineを点眼したところ,1カ月後に視力障害,中心暗点を訴え,眼底検査,螢光眼底撮影により,cystoid macular edemaが見出された。これらの症状は点眼中止により治癒したが,l-epinephrineの再点眼により再発した。以上のことから著者らは,この症例を本邦ではまだ報告のないepinephrine maculopathyと診断した。本論文では,本症例を紹介し,特徴的な螢光眼底所見の分析,ならびに類似の螢光像を呈するIrvine-Gass症候群より本症の病理学的変化および発生機序を類推し,併せて熊大眼科緑内障クリニックにおけるl-epinephrineの副作用についても検討し,報告する。
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