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臨床報告
副腎皮質ホルモンの大量投与が奏効した周辺性ブドウ膜炎の1例
著者: 菅謙治1 永井隆子1
所属機関: 1財団法人医学研究所北野病院
ページ範囲:P.907 - P.910
文献購入ページに移動1950年にSchepens1)がora serrataに限局して滲出物の出現する疾患をperipheral uveitisと命名し,1960年にBrockhurstと共に2)100例の集計を行なつて本疾患の特徴を明らかにした。一方1960年にWelch4)は同疾患をpars planitisと命名し,ブドウ膜炎という名称をはずしたが,1964年にはKimura6)らがふたたびchroniccyclitisという名称にもどし,以来現在にいたるまで本症はブドウ膜炎の一種とみなされてきている。
わが国においては1963年に浦山7)が本疾患をわが国に紹介して周辺性ブドウ膜炎という日本名をつけ,文献上本疾患が極めて多種多様の症状を示すことから,定義として,初発病巣が毛様体や前部脈絡膜に限局して存在する疾患を指すとしてはどうかとした。この定義は現在もなお一般に信じられているようで,われわれも周辺性ブドウ膜炎とは初期においては,前眼部,中間透光帯,後極部網膜などにはほとんど異常がなく,ただ毛様体や周辺部網脈絡膜においてのみ滲出物が認められる疾患を指すと解釈している。
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