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臨床報告
頭部外傷により内側縦束症候群(Syndrome of the Medial Longitudinal Fasciculus)を呈した1例
著者: 大河内雄幸1 佐藤修2 鈴木光夫3
所属機関: 1浜松医科大学眼科学教室 2東海大学医学部脳神経外科学教室 3遠州総合病院外科
ページ範囲:P.1065 - P.1067
文献購入ページに移動内側縦束症候群(Syndrome of the MedialLongitudinal Fasciculus,以下MLF症候群と略す)とは,脳幹の内側縦束の障害によつて惹起されるもので,臨床症状としては,眼球の水平性共同運動障害で,一般に輻較は正常であるにもかかわらず障害側眼球内転障害と他眼の外転眼に見られる水平性眼振を特徴とするものである。病因としては,脳血管障害,多発性硬化症,脳腫瘍,外傷,糖尿病,膠原病(SLE)脳炎,梅毒等があり,脳血管障害(特に片側性),多発性硬化症(特に両側性)によるものが多く,外傷によるものは,現在までのところBielschowsky1),Jaensch2),田中ら3)の計3例の報告があるのみである。
これらのうち両側性MLF症候群を呈した症例は,Bielschowskyの1例のみである。今回,われわれは,頭部外傷により両側性MLF症候群を呈した症例を経験したので,ここに報告する。
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