文献詳細
文献概要
臨床報告
蛍光眼底撮影後に脳底動脈狭窄症により死亡した1剖検例
著者: 田中三枝子1 小沢勝子1 馬嶋昭生1 岸本英正2 橋詰良夫2
所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室 2名古屋市立大学医学部第2病理学教室
ページ範囲:P.1259 - P.1264
文献購入ページに移動螢光眼底撮影は一般に行われるようになつてからすでに15年経過し,現在では眼科的診断および治療の上で欠くべからざる検査法の一つである。しかしフルオレセイン・ソーダの静注により,悪心,嘔吐,蕁麻疹などの副作用が発生し,数は少ないが重篤なショック症状をおこした症例や死亡した症例の報告がある。
われわれは今回螢光眼底撮影後に上肢のしびれ感,言語障害を訴え,約3時間後に意識消失をきたし,37日目に死亡した症例を経験した。本症例は剖検する機会を得たが,従来螢光眼底撮影後の死亡例の剖検は皆無であり,螢光眼底撮影またはフルオレセイン・ソーダと死亡との関係を明らかにすることは今後の検査の上から非常に参考になる重要なことであると考え,ここに報告する次第である。
掲載誌情報