文献詳細
文献概要
臨床報告
全身異常を伴わない視神経無形成の1症例について
著者: 木村肇二郎1 植村恭夫1 樋田哲夫1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1265 - P.1269
文献購入ページに移動検眼鏡的に視神経乳頭および網膜中心血管を完全に欠いた視神経無形成(Aplasia of the OpticNerve)についての報告は1854年Von Graefe1)によりはじめてなされており,その後Retze2),Meisner3),Krauss4),Renelt5),Little6)らの報告があるのみできわめてまれな疾患である。一方視神経乳頭低形成(Hypoplasia of the Optic Nerve)はそれほどまれな疾患ではなく,これまでに多くの報告がみられるが,それらの大部分は無形成として報告されており,両者は発生学的に明確に区別されるべきであるにもかかわらず混同がみられる。今回著者らは2歳の女児で他眼に臨床的無眼球を伴い,全身的にはほとんど異常を認めない視神経無形成の1症例に遭遇したので,その眼底所見を主とした臨床所見の特徴について述べ低形成との相違を明確にし,従来の報告と併せその病態につき発生学的見地より考察を加えたのでここに報告する。
掲載誌情報