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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻11号

1977年11月発行

文献概要

総説

特殊条件を併せもつ裂孔原性網膜剥離

著者: 調枝寛治1

所属機関: 1広島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1319 - P.1326

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はじめに
 裂孔原性網膜剥離(rhegmatogenous retinal de-tachment)の発症には,網膜裂孔の形成と後部硝子体剥離などによる硝子体の牽引が基本的な因子であるが,第3の因子として脈絡膜網膜間の接着力も重視されている1)。これらの要因に加えて,個体の特異性,剥離眼が併せもつ特殊な状態,および網膜裂孔の様態などの種々の条件が,網膜剥離の病像を多彩にするとともに,治療の難しさを助長している。裂孔原性網膜剥離の病因については,これを経時的概念から,A:先天性あるいは後天性に既存する因子,B:加齢とともに起こる老人性変化,C:老人性変化を助長させる因子,D:主に外傷等によつて急激に加えられた因子に分類して詳細に記述された豊福・広瀬2)の総説がある。
 さて,対剥離治療法の進展によつて,裂孔原性網膜剥離の復位率は90%を超える報告もみられるようになつた現在では,剥離治療の最も重要な課題は,特殊条件を多く併せもつ予後不良な症例,特殊な型の網膜剥離例にどのように対処するかにある。そこで,裂孔原性網膜剥離の特殊型のうち,最近注目されているものを取上げて臨床像を概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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