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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻12号

1977年12月発行

文献概要

銀海余滴

後部硝子体剥離の検査法

著者: 梶浦睦雄1

所属機関: 1福島医大眼科学教室

ページ範囲:P.1485 - P.1486

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 古い成書には老人性白内障の初期に水晶体の変化のために飛蚊症を自覚する患者がいるということが書かれている。しかし最近の硝子体に関する研究の進歩や細隙灯顕微鏡検査が普及してきたことによつて古い成書の誤まりは訂正され,この際の飛蚊症は実は老人性白内障眼にみとめられる後部硝子体剥離におけるPrcpapillary opacity (乳頭前硝子体斑)に基くものであることがわかつてきた。もちろんこの後部硝子体剥離は老人性白内障に併発したものではなく老齢化による変化であり,最近は水晶体硬化のおきている入の94%にみとめられることが明らかである。若い人でも近視や無水晶体眼では高頻度に観察される他,ブドウ膜炎,網膜色素変性症,網膜剥離,打撲,眼内手術後や外傷性穿孔,硝子体出血,増殖性網膜症,硝子体内寄生虫,Hippel-Lindau氏病,黄斑前線維増殖症等多くの眼内疾患にも観察されているが,詳細な事についてはほとんどわからないというのが現状であろう。
 さて,この後部硝子体剥離を詳細に観察できる最上の方法は細隙灯顕微鏡をおいてない。もちろん通常の細隙灯顕微鏡検査では眼球の屈折力のために硝子体の後方約2/3では見ることができないので後部硝子体剥離を観察することはほとんど不可能である。もつとも硝子体虚脱が強く後部剥離面が硝子体の前1/3まで移動している時は例外であるが,この頻度も数%にすぎない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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