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特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著
滲出性網膜炎(Coats病)における免疫学的観察
著者: 大岡良子1 棚橋雄平1 池田伸子1
所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.201 - P.208
文献購入ページに移動これまで,発症原因が不明とされている網膜疾患のひとつに,1908年Coatsにより報告された滲出性網膜炎(Coats病)がある。Coats1)は本症を3型に分類し,眼底に血管性病変および出血性病変がみられず,白斑のみを認めるものを第Ⅰ型とし,血管異常や大出血があり,網膜血管瘤を伴うものを第Ⅱ型とし,また眼底に血管腫と動静脈吻合があり,小脳血管芽細胞腫,延髄や脊髄の血管腫,および腎の病変等全身症状を合併するものを第Ⅲ型としたが,後に第Ⅲ型は除いている。その後,本症の原因について,炎症説,非炎症説,血管炎説,感染説,転位性動脈栓塞説等多数の報告がなされ,また病理組織学的には,管腔拡大,管壁非薄化といつた血管異常と炎症像の存在や,網膜下滲出物中におけるghost cellsとcholesterol片の存在等の報告がみられるが,本症の発症機構についての詳細は,今日なお不明である。われわれは,このたび,その臨床所見よりCoats第Ⅱ型と診断した症例において,本症の発症に関して,免疫機構の異常を推測し,発症原因解明の一助とすべく免疫学的見地から,主に細胞性免疫について検索を行つたところ,興味ある知見を得たので,ここに報告する。
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