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特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著
Multifocal Posterior Pigment Epitheliopathy多発性後極部網膜色素上皮症とその光凝固による治療
著者: 宇山昌延1 塚原勇2 浅山邦夫2
所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2京都大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.359 - P.372
文献購入ページに移動眼底後極部に黄白色の滲出斑が散在性に多発し,網膜剥離を伴う疾患が最近注目されている。この疾患は,従来,原因不明の播種性網脈絡膜炎と診断されていたと思われるが,螢光眼底検査法や,網膜色素上皮を中心とした眼底病変についての知見によつて,最近一つの独立した疾患であるとの見方が強まり,今までに,網膜剥離を伴つた中心性脈絡網膜炎(浦山1)),周辺性網膜剥離を呈する特異な網脈絡膜病変(三村2,3)),特異な続発性網膜剥離(塚原4),5)),異型中心性脈絡網膜症(吉岡6,7)),bullous retinal retinal detachment,an unusual manifestation of idiopathic centralserous choroidopathy (Gass8))などの病名で報告され,さらに同じ内容の症例は,uvealeffusionとして清水9),三村10)の報告もある。これらの論文をよくしらべると,どの報告も同一疾患を取扱つていると思われ,さらに,われわれは最近これらの報告例と同じ疾患とみなしうる症例の18例35眼を経験し,その観察結果から,この疾患は,独立した一つのclinical entityをもつ疾患であると考えるに到つた。その臨床所見を検討して,本疾患に多巣性後極部網膜色素上皮症multifocal posterior pigment epitheliopathyと命名した。
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