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特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著
先天盲開眼手術後の視知覚獲得過程の観察
著者: 安間哲史1 外山喜一1 鳥居修晃2 望月登志子3
所属機関: 1名古屋大学医学部眼科学教室 2東京大学教養学部心理学教室 3日本女子大学家政学部
ページ範囲:P.389 - P.399
文献購入ページに移動生来性の盲(congenital blindness)1)あるいは幼児期に失明した盲(early blindness)1)などのいわゆる"先天盲"が成人してから開眼手術を受け,開眼した場合の視知覚獲得に関しては,心理学的な見地から,これまでに多くの研究がなされている1〜5)。それらによれば,その獲得過程は,その患者の失明時期,失明期間,失明期間中の残存視覚2),開眼手術を受けた年齢6),手術後の訓練7),などに依存しており,開眼したからといつてすぐに視覚の世界に入り込める訳ではない。その上,ある種の視覚機能は,放置しておけば獲得されないままになりうる可能性が注目され,手術後の訓練の重要性が近年強調されている7,8)。
今回,著者らは,幼児期に麻疹後の角膜症で両眼失明した28歳の男子に,角膜移植を行ない,手術前後の眼機能の変化と,術後の視知覚獲得の過程を,およそ1年間観察したので報告する。
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