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特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著
人工水晶体の網膜に及ぼす影響と挿入術式の選択
著者: 尾崎吏恵子1 梅園千秋1 永田誠1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科
ページ範囲:P.651 - P.658
文献購入ページに移動人工水晶体(Pseudophakos以後PPと略す)挿入術が一般化する前に,その素材が,眼組織特に網膜に及ぼす影響を精査しておく必要がある。
Alloplasty (異物的形成術)は,近年血管手術の分野で長足の進歩を遂げてぎた。眼科領域においては,可動性義眼台やKoratoprosthesisへの応用の他,1949年にRidlley1)が初めて片白内障患者の水晶体嚢外摘出術後,後房内にPPを挿入し,眼内への人工産物挿入の道を開いた。その後Strampelli, Denheimらは隅角固定の前房レンズを開発し2),Binkhorstは虹彩支持によるレンズ固定法を考案した3).Strampelli, Dan-heimらのレンズは,角膜内皮障害の多発によつて姿を消したが,Binkhorstのレンズは,その後20年以上にわたる臨床経験の蓄積によつて,その優秀性が認められるようになり,最近10年間は,虹彩固定の原理による種々のデザインのPPが作製され,挿入されてきた。
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