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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻6号

1977年06月発行

文献概要

総説

眼とプロスタグランディンズ—プロスタダランディンズ生合成阻害剤の臨床的応用

著者: 増田寛次郎1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.747 - P.757

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1.はじめに
 Prostaglandins(以下PGsと略す)が眼の病態生理に重要な働きをしている事を発見したのはAmbache1〜3)で,兎の虹彩から抽出した物質が従来の活性aminesを始めとする生物活生物質とは異なるもので,強い平滑筋収縮を引き起こすことを初めて報告し,この物質を虹彩にちなんで"Irin"と名付けた。これが後にPGE2,Fである事がわかつた。またこれらの物質は前房内に,機械的刺激により生合成され遊出してき,このために縮瞳,充血,血液−房水柵の破綻や眼圧上昇等の眼の刺激症状を起こす事がわかつてきた。これらの事実はいろいろな動物実験で証明され,その総説が既にいくつか発表されている4〜11)
 最も関心の深い人間の眼とPGsとの関係についてはあまり報告をみないが,人間の虹彩抽出物中に12)PGs様物質が存在しある種の急性前眼部ブドウ膜炎で前房水中に高濃度のPGE様物質を測定している13〜15)。単性緑内障ではPGsの値が高いという報告16)とそうでないという報告17)があり,まだはつきりしていない。aspirine18)を大量前投与しておくと,前房穿刺の際の血液−房水柵の破綻を防ぐことができる19)等の報告がある。以上の事を総合して,人間の眼でもPGsが生合成され遊出される事,またそのPGsによりある病態が惹起される事もほぼ間違いない事である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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