文献詳細
文献概要
特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著
Exfoliation Syndromeの臨床的研究—その2 水晶体嚢緑内障の臨床所見
著者: 原敬三1 布田龍佑1 吉住真1 清水勉1 田上文子1
所属機関: 1熊本大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.787 - P.796
文献購入ページに移動Exfoliation syndrome (以下Ex.syndromeと略す)は緑内障を伴うもの(水晶体嚢緑内障:glaucoma capsulare)と緑内障を伴わないものの2群があることは周知の事実であるが,exfoli-ative materialの本態やこの物質と緑内障の関係については未だ不明の点が多い。従来,水晶体嚢緑内障の眼圧上昇機転はexfoliative materialがtrabecular meshworkを閉塞することによるという見解が多い。われわれは先にtrabecul-ectomyより得た水晶体嚢緑内障の隅角切除片を電顕的に検討した。その結果,本緑内障の多くは既存の緑内障がexfoliative materialにより増悪または修飾されたものであると考えるのが妥当であろうと推論した1)。しかし電顕による所見は眼組織のごく限られた部分のものであり,電顕所見だけで本緑内障の眼圧上昇機転を論ずるのは無理がある。そこで今回は本緑内障が高齢者でかつ開放隅角を有するものに多い事実から,水晶体嚢緑内障46例56眼と同年代の原発開放隅角緑内障の類似点および相違点を臨床的に比較検討し,電顕所見により得られた推論と同様な結果に達した。
掲載誌情報