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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻6号

1977年06月発行

特集 第30回日本臨床眼科学会講演集 (その6)

学会原著

Retinal arterial aneurysms 8症例の臨床像と光凝固治療

著者: 戸張幾生1 阿曾須巳子2 横路万寿子3

所属機関: 1東京都養育院付属病院眼科 2王子病院眼科 3同愛記念病院眼科

ページ範囲:P.803 - P.809

文献概要

緒 言
 網膜動脈に,まれに孤立性の比較的大きな血管瘤を認めることがある。この動脈の血管瘤より限局性の出血や浮腫を起こし,輪状網膜症様の所見や,網膜中心静脈枝閉塞症類似の変化をきたす。最近この網膜動脈の血管瘤により起こる臨床像を,一つのClinical entityとして報告されるようになつた1〜7)。Robertson1)は,この網膜動脈の血管瘤に対し,Macroaneurysmなる名称を与え,Leber病,Coats病,Hippel病などと異なり,その臨床像を,1)主幹動脈系(第3分枝以内)に血管瘤を認める。2)限局性の網膜出血と浸出斑を伴う。3)高血圧,動脈硬化症のある高齢者に多い。4)特別な治療なく自然寛解の傾向があると述べた。
 しかし,Cleary4)は,黄斑部に浮腫のおよぶ症例は,血管腫自体は自然治癒しても,浮腫によつて黄斑部の器質的障害を起こし,視力障害の原因となると述べており,すべての例で,Robertsonのいうように,全く治療せずに放置しておいてよいか,疑問を投げかけている.この血管瘤自体に光凝固を行うことにより,血管瘤よりの透過性をおさえ,浮腫の吸収の促進をはかることにより,術後の視力の維持に好結果をもたらし,また,凝固治療による重篤な障害も認められなかつた。そこで網膜動脈の血管瘤に対する光凝固治療の適応を主体に述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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