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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻7号

1977年07月発行

文献概要

臨床報告

代用硝子体としてのPVA橋かけ含水ゲルについて—白色家兎による実験

著者: 西岡啓介1 原嘉昭1 神谷貞義1 生野俊樹1 山内愛造2 松沢康夫2

所属機関: 1奈良県立医科大学眼科学教室 2工業技術院高分子研究所

ページ範囲:P.907 - P.913

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はじめに
 過去に検討されてきた代用硝子体の歴史は古く,文献的に残つているものは1893年Deutsch-mann1)が網膜剥離の治療に家兎および子牛の硝子体を人眼の代用硝子体として使用した事に始まる。これはWernicke2)の追試により結果も悪く,その後はほとんど行なわれなくなつた。それ以前には,しばしば硝子体混濁の吸引および自家房水の硝子体注入は行なわれていたようである。Deutschmann以後の興味ある文献を紹介するとGradenigoが硝子体を生理的食塩水で置換したのに端を発し,Elschnig3)が食塩水による硝子体置換手術法を発表した。それ以来好んでよく最近までこの方法が用いられている。Elschnigと同じ時代にOhm4)は空気を硝子体に注入する事を考え,Wood5)は網膜下液と生理的食塩水を硝子体に注入し,剥離の治療に用いた。髄液の使用はHegner6)が硝子体出血の患者に置換したのが最初である。わが国では,1910年河本7)が網膜硝子体出血で失明した眼に強膜を切開して0.6%の食塩水で洗浄を行なつている。1946年Cutler8)はアイバンクの出現により硝子体出血の患者に人屍体眼硝子体移殖を行ない3例中,2例に成功し,その後網膜剥離などに多くの追試がなされ,その有効性が認められている。だが細菌感染や保存などに欠点も多く,1960年代に入りStobbyらは動物実験にて凍結乾燥した硝子体を移殖に用いた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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