文献詳細
総説
文献概要
はじめに
Indocyanine Green (略称ICG)は,1957年Foxら1)により紹介された暗緑色の色素で,静脈に注射すると肝臓から胆汁中に排泄され,循環器からはすみやかに消失する。そこで肝臓,および循環機能検査用色素として内科,外科領域では広く用いられている。この色素の特長は,血中蛋白と急速に結合し光化学的に安定化され,その最大吸収波長は近赤外領域の805nmにあることである。
光の波長と眼底各層からの反射についてのBe-hrendtら2)の研究によれば,長波長光は脈絡膜まで透過する。そこで,脈絡膜の循環動態を知るためには,長波長側に吸収のピークのある色素を血管内に注入すれば,その流れを観察することができることになる。したがつて,この目的のために1970年Kogureら3,4)は,ICGと赤外線フイルムを用いる赤外吸光眼底撮影法を開発した。さらに,最近ICGより螢光が出る事がわかり,Flo-werら5)により赤外螢光眼底撮影法が発表されて来ている。また,色素希釈法による眼内血流量の測定にも,ICGは新たに使用されはじめようとしている。このように,ICGが眼科領域で利用されはじめてからまだ10年にもならないが,この間種種の業績が発表されている。そこで,これらの知見より眼科領域におけるICG利用の現況と,その臨床的応用について述べる。
Indocyanine Green (略称ICG)は,1957年Foxら1)により紹介された暗緑色の色素で,静脈に注射すると肝臓から胆汁中に排泄され,循環器からはすみやかに消失する。そこで肝臓,および循環機能検査用色素として内科,外科領域では広く用いられている。この色素の特長は,血中蛋白と急速に結合し光化学的に安定化され,その最大吸収波長は近赤外領域の805nmにあることである。
光の波長と眼底各層からの反射についてのBe-hrendtら2)の研究によれば,長波長光は脈絡膜まで透過する。そこで,脈絡膜の循環動態を知るためには,長波長側に吸収のピークのある色素を血管内に注入すれば,その流れを観察することができることになる。したがつて,この目的のために1970年Kogureら3,4)は,ICGと赤外線フイルムを用いる赤外吸光眼底撮影法を開発した。さらに,最近ICGより螢光が出る事がわかり,Flo-werら5)により赤外螢光眼底撮影法が発表されて来ている。また,色素希釈法による眼内血流量の測定にも,ICGは新たに使用されはじめようとしている。このように,ICGが眼科領域で利用されはじめてからまだ10年にもならないが,この間種種の業績が発表されている。そこで,これらの知見より眼科領域におけるICG利用の現況と,その臨床的応用について述べる。
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